僕の中のあいつ 第一部 第六章
「優、そう言えば、お前学校は?そろそろ新学期だろ」

「わかってるよ。明後日からなんだ、学校は。それにちゃんと、成田が迎えに来てくれるもの」

「そっか、それなら良いけども……って、優、お前まだ家には帰らないのか?」

「お兄ちゃん、ボクがここにいちゃ、いけないの?」

 優はいきなり涙声になる。

「いや、そうじゃなくって……家の人は心配しないのかって聞いてるの。泣くなよぉ……もう」

「あのね、母様が言ってたんだけど、お祖父様がまだボクの事諦めてないらしいから、お兄ちゃんの許可さえあればまだここに居て良いって。その代わりきちんと連絡だけはする様にって……」

「ふーん、それなら良いよ。優の好きなだけ居ればいい。僕が優の事追い出したりすると思うか?」

 優はフルフルと首を横に振る。


 新学期が始まり優は昼の間学校に行っている。あの二人も学校(驚いたと言うか当然と言うか、あの二人は優と同じ学校の中等部なんだって)に行っているので、昼間は実に静かになった。僕は久しぶりの静かな休日を過ごしている。しかしそれは、嵐の前の静けさだったらしい。

 一週間程後、僕もそろそろ学校とバイトの生活が始まろうかとしているその時にそれは起こった。僕が、バイトから帰ると部屋の中が妙に騒がしい。

 何だろう?僕が部屋の中に入ると三人が大騒ぎをしていた。

「何だ何だ?おい、うるさいよ。もっと静かにしないか!」

「あ〜、おにひゃんら〜、おか〜り〜」

 どうした?僕は居間に向かう、そこにあったのは……、既に1ダースにもなろうかと言う果実酒とカクテルの空缶だった。僕が、お金がある時に買っておいた物である。流しの下に隠してあった分迄出しちゃって……。

「優ひゃま〜早くつるきやりまひょうよ〜」

 普段冷静に見える美里君迄、ろれつが回っていない、更に驚いたのは、二人共殆ど裸同前だという事だ。あれ?もう一人はどこ行った?

「お前ら、酒飲んだのかっ!」

 優がふらふらしながら寄ってくる。

「え〜?あれ、お酒らたの〜?らって甘くっておいひかったよ〜」

「お酒なの!第一何でお前ら裸なんだよっ」

「え〜、なんか暑いからみんなれはらかになってたの〜、それれね〜遊んれたんらよ〜」

 あははと優達はお気楽に笑っている。あー、まったくもう!僕は頭が痛くなって来たよ……勝手にしてくれ……。(作者も頭が痛くなって来たし疲れた……これからの会話は普通に戻そう……)

 僕は流しに行き更に隠してあった、母ちゃんが送って来た十年物の梅酒に口をつける。こいつは無事だった様だ……。

「あ〜!お兄ちゃん、何飲んでるの〜?」

「駄目!これもお酒なんだから!」

「ボクにも頂戴よ〜」

 優はしつこく食い下がる。

「駄目ったら駄目!」

 む〜、とほっぺたを膨らませた優は、居間の方へ戻っていく。ほっ、諦めたか……。いや、諦めてなかった様だ。優は、美幸と美里を引き連れ、流しに戻って来た。

「もう一回言うよ。お兄ちゃん僕達にもそれ飲ましてね」

 三人は、極上の笑みを浮かべて僕に迫る。こっ、恐い!お子さまの酔っ払いと言う物がここ迄恐い物だとは思わなかった。酔っ払いに道理が通じない事に年令の制限はない様だ。しかし、これ以上飲ませる訳にはいかない。

「だっ、駄目!」

 僕は、コップに入った梅酒を一気に飲み干すと「もう飲んじゃったよーだ。もう無いもんねー」と言う。

 すると、優は二人に耳打ちをする。なにを企んでいる?僕はふと身の危険を感じた。その時、いけぇ!と優が号令をかける。

 それと同時に二人が僕に向かって飛び掛かる。すこぶる酔ってはいてもさすがにISSのお墨付きだ。僕はあっという間に床にねじ伏せられ、右手を後ろ手にきめられる。

「いでででででで!」

「お兄ちゃんが素直に出さないからだよー」 優は情けない声を出している僕の顔の前にしゃがんで勝ち誇った様な声を出す。そして、いつの間に見ていたのか、梅酒の瓶を取り出しコップに注いで口をつける。

「うわっ、濃いよ、これ……」

 一瞬顔をしかめそう言うと、水と氷を入れ、再び口をつける。

「あ!おいしーい!」

 そりゃそうだ、十年も経てば、色も濃い飴色になって、円やかな味になる……。

 優は足の方を押さえている、美幸に何やらごにょごにょと囁く、すると美幸は優と持ち場を交代し、居間の方に消えてゆく。戻って来た美幸の手には、梱包用のガムテープが握られていた。

「こら!優!何をするつもりだ!」

「決まってるじゃ無い、お兄ちゃんを自由にしたら、これ飲めないもん。だから縛っちゃうの」

 僕はそれを阻止しようと、もがく。その途端、きめられていた腕が絞り上げられる。

「いだだだだだだ!」

 僕が少し大人しくなった隙に、美幸は手際良く足首、膝、そして美里と協力して両腕を後ろにして、ガムテープで固めてしまう。僕は芋虫みたいな格好で流しの床に転がされる。

「お前等ー!こんな事して、後で覚えてろ!」

「お兄ちゃん、うるさい……」

 優は一言そう言うと仕上げとばかりに僕の口にガムテープを張り付けた。

「むむっ!むむむむーむむむ!」

 僕は、この小悪魔達に罵詈雑言を浴びせかけるが、言葉にならない。

「これでよしっと、さー!あっちでこれ飲もー!」

 三人は、梅酒の瓶と、氷と水差しを持って、居間の方へ消えて行く。あぁ、僕の梅酒……。


 暫く僕は床に転がっていたが……流しは冷たいっ!それに喉が乾いた。あいつらはキャイキャイとはしゃいでいる。僕は、尺取り虫の様に体を動かし居間の方へなんとか移動する。居間には優しかいなかった。僕はたっぷり五分程かかって、優の側に到達する。僕が優の腰の辺りを頭で小突くと優はやっと僕の存在に気がついた。

「あれ?お兄ちゃんどうしたの?」

「むむむ、むっむむむー」

「わかんないよ、お兄ちゃん」

 わからなくさせたのはお前だろーが!そう叫びたかったが、また機嫌を損ねてしまうとまずいので取り合えずそれはおいておこう。

「ちょっと待っててね」

 優はそう言うとビッと一気にガムテープを剥がす。乱暴に扱うんぢゃないっ、痛いぢゃないかっ!口のまわりがヒリヒリして、熱を持っている様な気がする。

「優、これを解いてくれよ。水も飲めなきゃ、トイレにも行けないよ」

「解いてもいいけど、僕達の邪魔しない?解いた後に怒ったりしない?もし約束してくれるんなら解いてあげる」

 随分無茶な条件持ちかけるなぁ……でも解いて貰わないとどうしようも無いからなぁ…………。

「わかった、優、降参だ。今日は一切怒らない。だから解いてくれ」

「ほんとだね?じゃ、解いてあげる」

 ……ふぅ、僕は縛られて、血行の悪くなった腕をさすりながらあの二人の行方を聞いた。

「美幸はエッチ本無いかなぁって、そこら辺漁ってる筈だよ。美里はおトイレだよ、気持ち悪いって……」

 そらそうだろう……、美里がどれだけ飲んだのかは知らんが、少なくとも1リッター位は飲んでいる筈だ。もう既に、梅酒の瓶は1/3程飲まれてしまっている。口当たりが良いからすいすい飲んでしまったんだろう。ちょっと、様子を見に行くか……。

「美里、大丈夫か?」

 返事の代わりにトイレで水を流す音が聞こえた。

「すいません。大丈夫です」

 そうは言うが、顔色は真っ青だ、しょうがないなぁ。僕は、寝室の布団に美里を連れていき、寝かせてやろうとした時、押入れでごそごそ音がする。僕は、取り合えず美里を布団に横たえ、押入れの襖をあける。

「な……に……を……やって……いる……のかな?」

 顔がひくひくしているのが自分でもわかる。

「あ、めっかった……へへへ」

「探し物は、見つかったかい?」

 美幸は、押入れの中の物を引っ掻き回していた。そして、何か意味ありげな笑みを浮かべている。

「これなーんだ?」

 ぎっくぅー!そっ、それはこの間買って来たバイブレーター!やばいっ、やばすぎる!

「な、な、な……なにかなぁー?」

 僕は、あさっての方を向きとぼけるが、動揺で、声が裏返っているのがわかる。

「これ、バイブレーターだよね?使った事有るの?」

「……え?いやぁ……、あははははっと……」

「あー、有るんだ……。このスケベっ……ねっねっ。スイッチ入れてみても良いだろ?どんな動きするのか見てみたいんだ」

 美幸は好奇心丸出しに聞いてくる。この位の年令はこういう事に凄く敏感だ。国語の辞書のエッチな言葉に線を引いてみたり、保健体育の教科書に悪戯書きをしてみたり……。

 ここは下手に断わって、しつこく食い下がられるよりも、素直に好奇心の鉾先をそっちに持って行く方が正解だろう。

「ま……まぁいいでしょ、お気の済む迄弄くれば?」

 待ってましたとばかりに、美幸はスイッチを入れる。ヴヴヴヴ……と言う音と同時にバイブがウネウネと動き出す。その動きを見た美幸が感嘆の声をあげる。

「スッゲー!バイブレーターってこんな動きするんだぁ!……おい!美里!寝て無いで見てみろよ、明兄ィってばこんなの持ってたぜ!」

 美幸は、横になっている美里の前にバイブを持って行き、半ば無理矢理に見せつける。

「……ぃぃ……」

 美里は消え入りそうな声で答える。しかし美幸は容赦しなかった。美里に体にバイブを押し付け、そこら中をグリグリと弄り始めたのだ。暫く美里をからかっているといきなり美里は立ち上がり、美幸を突き飛ばすとダッシュでトイレに駆け込む。美幸は変な格好でしゃがんでいたので、コロンと転がって箪笥に頭をぶつけてしまった。

「いってぇ!」

 美里は頭を抱え、うずくまる。僕は美里の事が心配になって、トイレの前に行く。中では美里が吐いているようだ。落ち着いたのを見計らって、彼にコップで水を汲んでやり、手渡す。彼は口を濯ぎ、もう一杯水を汲んでそれを一気に飲み干すと、以外にしっかりした足取りでつかつかと美幸のいる寝室へ歩き出す。

「美幸!何するんだよ!」

「何すんだって、それはオイラの台詞だ!突き飛ばしやがって!」

 二人はその場で喧嘩を始めてしまう。ワイワイギャンギャンと口喧嘩の嵐だ。一瞬殴り合いの喧嘩になるかと思ったのだがそれは無い様だ。するとその一部始終を見ていた優が僕の側にピトッと寄って来た。

「いつもの事だからほっとけば良いよ、お兄ちゃん。絶対に殴り合いにはなんないもん」

「どしてだい、優」

「二人とも強いからね、大怪我しちゃうの知ってるの」

 ……納得。

 でもこれは御近所に迷惑だ……。僕は二人の間に入り、仲裁を始める。しかし、一向に収まる気配が無い。そこへ優が寄って来て、下で元気良く動いているバイブを拾い、スイッチを切る。

「電池が勿体無いよ、全く」

 そう言うと、それを持って居間の方に戻ってしまう。

 その光景に僕達は呆気に取られる。勿論、喧嘩なんかは一瞬にして忘却の彼方ヘと忘れ去られてしまう。二人の少年は、思わず優の後を追いかける。

「あのーもしもし?優ちゃん?」

 優は、食べかけのポテチに手をのばした所を美幸に呼び止められ、こちらを向く。

「なーに?美幸。もういいよ、喧嘩でも何でも勝手にしてて」

 そう言ってパリパリと、ポテチを食べ始める。

「いや……、そうで無くって……それなんだか知ってるの?」

「知ってるよ。ボクが使ってるバイブだよ」

「……はい?」

 美幸と美里の二人は一旦お互いの顔を見つめ、そして二人して疑問符を投げかける。

 こらこらこらこらっ!何を口走っているんだこの子は!家にばれたら、大変な事になるんだぞ!僕は優の後ろから手で口を押さえるが、時……既に遅し……。

「……あの……優様?私耳がおかしくなったのか、優様が使っているって聞こえた様な気がしたんですけど」

 いや、美里、君は聞き間違いをしていない。

 優は、僕に口を押さえられている為、ウンウンと首を縦に振る。

 あまりと言えば、あまりの爆弾発言に二人は思考停止を起こしている様だ。そのまま暫くの時が流れた。

 最初に立ち直ったのは、美里の方だった。美里は僕に、水を要求する。僕がコップに水を汲んでくると半分程飲み干す。そして、ISSのメンバーとしての職務をしている時の顔つきに戻る。

 僕も、もう腹を決めた、優に任せよう……。

「優様、二……三質問をさせていただきますが……」

「いいよ、何でも聞いて」

「では……、優様、明さんとは……えーっと……どう言う……って言うか、どこ迄……って言うか……」

 まだ混乱している様だ。その質問の言いたい事は解る。優もそれを理解した様だ。

「えーっとねぇ、お兄ちゃんはボクの彼氏でねぇ……もうセックスもしたんだよ」

 あう、覚悟を決めたとはいえ、とてつもなく心臓に悪い。

「ではもう一つ、その彼氏の明さんの事が大切ですか?」

「もちろんだよぉ、命の恩人だし、お兄ちゃんがいなくなったら、僕は……」

 あ、涙ぐんでる、なんか変な事想像したな。……でも、とんでもない状況だけど優のそんな態度を見て僕はジーンときてしまった。

 だって、こんなに好かれているんだ、嬉しいじゃないか。

 美里は、今度はこちらを向く。僕は思わず畏まってしまった。ちょうど親に叱られる時みたいに……。

「明さん、今、優様が言った事は本当ですか?」

「……うん、本当だよ」

 美里は、大きな溜息をつく。

「それと、今、優様が言っていた、命の恩人と言うのはどう言う事ですか?」

 僕は、優との出会いをかいつまんで話した。

「……そうですか、実は、チーフから指示を頂いていたんです」

「おい、美里、いいのかよ?」

 やっと立ち直った美幸が美里に警告する。

「私が責任持つからいいよ」

 どうやら秘密の指示事項だったらしい。

「日野明さん。実は、私達にもし優様と明さんがそう言う関係にあったと判明した場合ISSに、いいえ、チーフにすぐ連絡する様に言われていました。そして、あなたは社会的に抹殺される運命になっていました」

 げげげっ!清水さんには、ばれていたのか……それにしても、なんと恐ろしい事を……。

「ISS特務は、基本的に泉寺家を守る為の組織です。もしも、優様が……その……この年令で……まして、男の方とやってしまった、と言う事が明るみに出てしまえば、大スキャンダルになってしまいます。それを防ぐ意味で私達が居たんです。もしチーフがいれば、あなたはかなり用心していた筈です。そうでしょう?」

 確かに……。あの人がいたんじゃ、僕は安心していられなかっただろう。

「でも、ここ暫く優様と昼間の間一緒に遊んでいて気がついたんですけど、優様は今迄あんなに明るく笑った事が無いんです。少なくとも、私達がお屋敷の方にいる間は……」

 そうだったのか……僕は、元々優は明るくって素直できっと人気者なんだろうと思っていた。

「唯一、笑顔を見せてくれていたのは、チーフと私達、特に美幸だけだったんです。だから、あんなに屈託の無い優様を見ていて、私は、間違っていないかって思っていたんです。今日の事ではっきりしました。この事は私と、美幸の二人の胸にしまって置こうと思います。……いいよね美幸」

「いいも何も、決定権もってるの兄ちゃんじゃんか。でもオイラもそう思っていたからいいと思うよ」

 僕は、二人に有難うと感謝の念を込めて頭を下げる。ほら、優も二人にお礼を言わないと……って、あれ?優がいない……。どこいったんだ、あいつは。

 優はいつの間にか二人の後ろに立っていた、そして美幸、美里の順に唇を奪ってしまう。その手には、なんとあの薬が握られている。おーい!事態をややこしくするんじゃ無い!

「なっ……」

「優様……」

「えへへ……、お礼に気持ちいい事してあげるねっ」

 そう言うが早いか、優は美里が唯一身に着けていたブリーフを一気にずり下げてしまう。(彼等はずーっとパンツ一丁だったのだ。)

 お前は、お礼にそれ以外の事は思い浮かばんのかっ!そう言うツッコミを入れたかったのだが、何せ相手は酔っぱらい、絶対にややこしくなるのがわかっているので余計な事はしないでおく。

 一瞬硬直した美里だが、露になった股間を手で隠し赤面する。

「あっ、あのっ……わっ私、優様のその気持ちだけで十分ですから……そっ、そんな事しなくても結構ですからっ」

 そう言って、腰を引き後ずさろうとしたのだが、膝の辺りで停まっていたブリーフが邪魔になって上手く逃げられない。そのうちに美里はバランスを崩して、後ろ向きに倒れそうになる。

 そこを美幸がしっかりと助けてやる、しかし美幸の思惑は違う所にあるようだった。なぜなら、彼は美里の事を羽交い締めにしたのだ。そして、美里の耳もとで囁く。

「いいじゃん、兄ちゃん。優ちゃんがしてくれるって言うんだから、して貰っちゃえよ。オイラもちょっと見てみたいしさ」

 完全に面白がってるな。しょうがないなぁ、ちょっと助け舟を出すか…….

「こらこら……美里は嫌がってるだろ、嫌がる事を無理矢理するのはお礼じゃ無いぞ。止めなさい、優」

 そこに思わぬ反撃があった。

「優ちゃん、じゃぁオイラへのお礼って事でやっちゃっていいよ、オイラ兄ちゃんのそういうの見てみたいから」

「解った、じゃぁ美幸へのお礼はこれね!」

 そう言って、優は美里に近づく。全く……

「嫌っ、やめてよっ、こらっ、美幸!離せよ、離せったらっ!」

 美里は、ジタバタと暴れ始める。上半身は美幸が押さえていたのだが、下半身はフリーだ。優はそこに居た……。美里に蹴られて後ろに吹っ飛ぶ優。

 壁に背中をしこたまぶつけた優は、けへけへと咽せている。自業自得だよそれは……。僕はあえて、優の状況を無視した。

 反対に美里は顔面蒼白になっていた。そこへ美幸の決定打が決まる。

「あーあ、知らないよ。守るべき人が守られる人を蹴っちゃった……。ガーディアン失格だなっ、兄ちゃん」

「美幸、ちょっと離してよ。……大丈夫ですか?申し訳ありませんでした」

 美里は優の背中をさすりながら謝る。……おい、あまりさすらん方が良いと思うぞ……

 うっぷ……、優がいきなりゲロッた。

 ……やっぱり……。僕はバケツと雑巾を持って来て吐いた物を処理する。床がフローリングで良かった、畳だったら目も当てられん。優と美里はゲロだらけだ。僕は二人の体についた物を軽く吹き取ってやり、シャワーを浴びさせる。

 余談だが、僕が掃除をしている間、美幸がその臭いにつられてトイレに駆け込んで行った。皆飲み過ぎだよ、いくら口当たりが良くっても結構きついんだから……。

「すいませんでした。優様……」

「駄目、許さない」

 優と美里はシャワーから戻って来てそんな事を言っている。……もう許してやれよ……。美里は優の機嫌を損ねた事で小さくなっている。

「……あの……、どうしたら許して頂けますか?」

 優は、考え込むふりをして(ふりだよあれは絶対!)

「じゃぁ、さっきの続き!」

「……わかりました……」

 美里は優に対しての事が引け目になっているのだろう。少し躊躇した後に、了承の返事をする。そして優はその場に立っていた美里の物を口に含む。美里のそれは優の物よりも少し大きいぐらいだ。陰毛はまだ生えていない。

 優が、暫くクチュクチュと口の中で弄んでいるうちに美里の物が大きくなってきていた。

「どう?美里、気持ちいい?」

 優は一旦口を離して、彼に問う。大きくなった美里のそれは先端の半分程が包皮で被われていた。

「はい、優様……あの、あったかくって、とても気持ちがいいです」

「そう、良かった。じゃ、続けるね」

 優は再び美幸の物をくわえる。しかし今度はいつも僕にしている様な、きつい攻めだった。美里の膝が、がくがくと振るえだす。あまりの快感で足に力が入らない様だ。

「あっ、あっ……優様、そんなに強く吸わないで……」

 そんな二人の様子を見ていた美幸が僕に向かって、語りかけてきた。

「すっごい……あのさ、明兄ィ。優ちゃんと、いつもあんな事してるの?」

「いつもって訳じゃ無いけどさ……」

「気持ちいいの?」

「まぁね……」

「へぇ、いいなぁ。兄ちゃん凄く気持ち良さそうだよ」

 見ると、頬が薄いピンクに染まり、上気しているのがわかる。そして、美幸のブリーフはテントを張った様に盛り上がっている。

 一方美里の方も凄い事になってきていた。完全に腰砕けになった彼は、膝をついてしまっている。しかし優の責めは続いている、その動きに合わせて彼の腰も動いている。

「あぁッ!いい!優様ぁもっと……いっぱいしてぇ」

 その声で、優の動きが一層大きくなる。そのうち美幸が優の頭を両手で掴んだ。腰を前の方に突き出し、動きが停まる。どうやらイッたらしい。優の頭を離すと、今度は本当にクタッと崩れ落ちた。

「はぁ……、優様、凄かっったです」

「後でもっと気持ちいい事してあげるね、なんか美幸もやって貰いたいみたいだから……おいでよ、美幸」

 優は、美幸に手招きをする。……何だ、聞こえてたのか。彼はフラフラと優の前に行く、そして緩慢な動作で、ブリーフをずり下げた。美幸の既に大きくなっていた物は、ブリーフのゴムで引っ掛かって下の方に押し下げられていたのだが、やがて彼の物が勝負に勝ち、プルンッと勢い良く上を向く。

 美幸のは、美里のよりも更に大きい、しかも下手をすると僕のよりも大きいかも知れない。ううっ、13歳であの大きさじゃ、彼が大人になったらかなりの巨根になるなぁ、思わずコンプレックスを感じる僕だった。

 陰毛の方も産毛みたいに細いが、うっすらと生えてきている。下だけ見たら、美幸の方が兄貴みたいだなぁ。優もそれを見て驚く。

「凄ーい、美幸のって大きいねー、もしかしたらお兄ちゃんのよりも大きいんじゃ無いかなぁ」

 あぁっ!それは言わないでっ。

「ヘへっ、そうかなぁ」

 美幸は満更でも無いらしく、鼻の下を人指し指でしきりにこすっている。

「でも、ボクはお兄ちゃんのが一番良いんだよ」

「そっかぁ、明兄ィのが良いんだ」

「そうそう……ふ……むぅ……んっ……っ」

 そう言って、優は、美幸の物をくわえた。

「あうっ!そんないきなりっ。でっ、でも、気持ちいいっ。明兄ィ、こんな気持ちいい事して貰ってたんだっ……」

 彼は、やっとの事で声を出していた。

 優は美里にしてやっていた様に、彼を攻め立てる。

「ちんちん舐められるのがこんな気持ちいいって知らなかった」

 そりゃそうだ。普通はもっと成長してから経験するもんだ……。もっとも、僕が諸悪の根源だって言われりゃ否定のしようが無いけどね…….

「優ちゃん……、そんなに強くしないで……。ちょっと痛い……」

「ごめんね。美幸」

 優は口を離して、美幸を弄りながら、答える。そして、先端をクリクリと人指し指で攻める。その行為に美幸は更に悶える。

「うぅッ、優ちゃん、そっ、それいい……」

「美幸、もっと気持ち良くなりたい?」

「え?それどう言う事?」

「あのね、ボクの中に入れてもいいよ……。って言うか、入れて欲しいの……ボクも気持ち良くなりたい」

 優は、彼のものから手を離し、四つん這いになってローションを自分で窄まりに塗り、そこを指で弄り始める。クチュクチュと湿った音がしている。

「もういいよ、入れても……」

「でっ、でも……」

 躊躇する、美幸に優は声をかける。

「大丈夫だよ、お兄ちゃんとしてからは、いつも綺麗にしてるから……。早くしてよ、美幸ぃ」

「本当にいいの?じゃ、入れるよ……優ちゃん」

 しかし、美幸は優の中になかなか入れる事が出来ない。2回3回と狙いを外すうちに優が焦れてしまう。

「美幸ぃ、意地悪しないで早くしてよぉ」

「いや、あの、わざとじゃ無いんだよ、なかなか入らないんだ」

「んもぅ……」

 そう言うと優は、美幸のそれを掴み、自分の中へ誘導していく。

 にゅぬっ

 そんな音が聞こえた様な気がした。一気に美幸の物は根元迄、優の中に入っていく。

「は……あぅん、美幸の凄いおっきい…….」

「うぅっ、きつい……でっ……でもすっごく気持ち良い!明兄ィってば、優ちゃんとこんなに気持ち良い事してたんだ……ずるいや……」

 ……いや、ずるいって言われても……

 美幸は最初はゆっくり動いていたのだが、そのうちどんどん早く、激しく動き出す。その激しさに、優が音をあげた。

「みっ、美幸っ、痛い……痛いよっ……そんなに激しくしないでよ」

「ごめんね、優ちゃん……でも、でもっ……気持ち良くって腰が止まんないんだよぉ」

 しかし、優の苦痛はそんなに長くは続かなかった。一分もしないうちに美幸が果ててしまったのだ。

「美幸早ーい!」

 優が、ブーたれる。

「もぉ……。こんなんじゃボク、イけないじゃん」

「……ごめん。だって、気持ち良くってさぁ」

「やっぱりボクは、お兄ちゃんのが一番いいや、お兄ちゃん、来てよ」

 そう言って、優は僕の前に来る。しかし僕は正直言って混ざる気は無かった。

「え?僕はいいよ……。今日は何かそんな気分じゃ無いし……」

「でも、そんな事言っているけど、ここは充分大きいよ?」

 そう言って、ズボンの上から、触ってくる。

「でも、いいよ……」

 僕があまり乗り気で無いのを見た優は、美幸の前にいって「押さえつけちゃってよ」なんて言っている。冗談じゃ無い!またさっきの様に痛い目見るのは御免だ。

「解った、解った。僕の負けだよ。相手してやるよ……」

「最初っからそう言えばいいのに…….」

 しょうがない、やるとなったら楽しむか……。僕は、ズボンを脱ぎ、トランクスも脱ぎ捨てる。それを見ていた美幸が、尊敬の眼を向けて来た。

「すっげー、もじゃもじゃだ!」

 そりゃ、あんた……この歳でつるつるだったら病気だよ……

 僕は、美幸の精液でヌルヌルになっている優のそこにいきなり自分の物を挿入してやる。

「あうぅ……やっぱりお兄ちゃんのがいいよぉ」

 僕はグチュグチュと音をたてている優のそこを攻めながら、美里を人指し指で呼びつける。そして、再び優に彼の物をしゃぶらせる。

 すると、優が手に持っていた、例の薬を美里の窄まりに塗り付けてしまった。

 暫くは二人で優を攻めると言う状態が続いていたのだが、不意に美里がお尻の辺りを気にしはじめた。

「あの……優様……さっき、何を塗ったんですか?何かお尻の辺りが熱い様な、むず痒い様な感じがするんです……」

 優は、美里の物から一旦口を離す。

「あ……んっ……あのね……ひゃぅ……せ……くすが気持ち……いいっ……良くなる……お……薬なの……あ……お兄ちゃん、もっとぉ」

 ……あのさ……よがるか喋るかどっちかにしようよ……

「美幸ぃ、そ……そこに……バ……イブッ……あるの……取って……美里に入れてあげて……」

「……うん」

 美幸は転がっているバイブを手に取り彼に入れようとするが、やっぱり入らない。しょうが無いので美里に僕の側へ来てもらう。

「美里……僕の方にお尻を向けて四つん這いになるんだ」

 美里は、黙って言う通りにする。さっきからお尻が気になるのか頻りに腰がクネクネと動く。それが妙に色っぽい。

 僕はまずバイブを、美幸から受け取り、それを優に渡して、良く濡らしておく様に言い付ける。優は、美里の代わりにバイブをピチャピチャと舐めている。

「いいかい、お尻の力を抜くんだよ、じゃないと痛いからね」

 僕は、ひとまず中指をゆっくりと挿入してやる、最初優にやってあげた時の様に……。取り合えず第一関門突破だ。でも自分が動きながらだとやり辛いなぁ……

 一旦優を抱え上げ、下に潜り込む、丁度騎上位の形だ。優も僕が何をしたいのか解ったらしく、自分から腰を振り始める。さてもう一回……。再び美里のそこに指を押し当てる。今度はさっきよりスムーズだ。

 僕は、ゆっくりと指を出し入れして、美里のそこの緊張を解きほぐす。彼は少し感じているのか可愛い声を出している。

 暫く指を動かしてやっているうちに、そこも大分柔らかくなって来た。もうそろそろいいかな。僕は優からバイブを貰う。

 優は口が寂しくなったのか、上体を倒しぼくの乳首にむしゃぶりついて来た。しかし、僕の邪魔にはならない様にしてくれている。「いいかい、入れるからね、さっきより太いけど、力を抜けば大丈夫だから…….」

 僕が彼のお尻にバイブの先端を当てると、ビクッと一瞬逃げ腰になる。

「駄目だよ、怖がらないで……。美幸、ちょっと軽く押さえてやってよ」

「大丈夫です。ちょっと恐かっただけ……」

 彼は美幸が押さえようとするのを手で拒むと僕にそう言って来た。

 僕は、再び美里の窄まりにバイブを当ててやる、また少し逃げかけたが今度はしっかりとバイブをくわえ込む。

「ううぅ」

 やはり薬を塗ってやっても、快感と迄はいかない様だ。僕はバイブのスイッチを入れた。

 …………

 その途端、美里の腰が跳ね上がる。

「あぁぁぁぁぁ」

 表情は見えないが、美里には初めての体験だ。その感覚が言い表せないのだろう。

 すると、暫く横で一部始終を見ていた美幸が美里の前にきていた。

「兄ちゃん、オイラもう我慢出来ないよ……」

 そう言って、美里の顔の前に自分の物を持って来た。美里はそのすっかり大きくなった物をくわえる。

「ううっ、兄ちゃんの口あったかくて気持ちいい……」

 最初に果てたのは僕だった。これでも大分我慢したのだ。たっぷりと優の中に注ぎ込んだ後僕は一旦美里の様子を見てみる。彼は、美幸の物をしゃぶりながら、恍惚の表情を浮かべている。苦痛はない様だ。美里の長い髪が汗で濡れた肌にくっ付いて、艶かしい。

 まだ射精していない優は暫くこの兄弟の痴態を見ていたのだが、美里の後ろにつくとバイブを抜き取り、替りに優自身が加わる。

「ああっ、優様、そんな……」

「美里ぉ、美里のって、気持ちいいよ」

「あ、有難うございますぅ」

 美里と美幸は暫く見つめあっていた後お互いに顔を近付け、キスし始める。

 次に果てたのは優だった。美里の中から優の精液が溢れ出て来る。優は二人に刺激されたのかとことこと僕に寄って来て、僕にキスをして来た。あの二人は、今度はお互いの物をしゃぶっている。そして、同時に果てていた。

「あ、美幸達イったんだ。だったらこっち来てお兄ちゃんのしゃぶってあげなよ」

 二人は、僕の物を一緒にしゃぶり始めた。美里が先端を含むと美幸は袋に舌をのばす……両側から舌でなめあげる……そんな攻撃を受けて、僕は簡単にイってしまった。二人の顔に精液が飛び散る。それを、優が舌で舐め取って飲み干す。そんな行為は深夜に及んだ。


 翌朝……

 彼等の朝は、頭痛と吐き気で始まった。

「……ー、頭痛ーい。気持ち悪いー」

「……優様、あんまり喚かないで下さい……頭に響く……」

「オイラも、きぼぢわる……うっぷ」

 当然である。いくら汗をかいたからと言っても、あれだけの量を飲んで二日酔いにならない訳がない。なんせ、三人で、2リットル程あった梅酒が1/4程しか残っていないのだ。

「どうするんだ?学校は!休むのか?」

「……ん……だから……」

「……そうします……お願いですから……」

「……オイラも駄目……喚かないで……」

『ごめんなさーい』

 三人とも僕に向かって謝った後再び布団に潜り込んでしまった。

 僕は肩を竦め、三人の学校に電話する。まさか二日酔いで休むとは言えないので、風邪をひいたと言って……。



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