僕の中のあいつ 第二部 第三章
「ねぇ……お兄ちゃんいいでしょ〜。一回でいいからぁ……。」

 優が僕に抱きつき、甘えた声で僕におねだりをしてくる。優の手は僕の股間をフニフニと彷徨っているように撫でている。

「だ〜か〜ら〜、君は明日大会に出るんでしょ〜?だったら今のうちにしっかり寝てコンディションを整えておきなさいよ。」

 優は地区大会前日の今日、防具一式を担いで学校からそのまま僕の家に泊まりに来た。大会の開催場所が、うちから徒歩数分の公立中学校らしいのである。

 そして、早めの就寝という事になり僕らは布団に入った。そして布団が温まった頃優が、僕のパジャマ越しに手を伸ばしてきたのだ。

「だって〜……ボクはお兄ちゃんにしてもらうと次の日、調子がいいんだよ〜。ねっ?だからお願い〜。それに、お兄ちゃんだってその気になってきてるでしょぉ〜。」

 確かに、優の絶妙な刺激によって僕のモノは、確かに大きくなってきていた。その上、優は僕の耳たぶをぺろぺろと舐め始めるものだからこちらとしても堪らない。

「うあ……優……もういい加減にしないか!そんな我がまま言っているともうこれからしてあげないぞ!」

 僕が少し怒り気味に優をたしなめる。普段の優ならここで引く筈なのに、何故か今回は引いてくれない。その上、僕に脅しまでかけてきたのだ。

「いいもん……、お兄ちゃんがそう言う事言うんだったらボクにだってそう言う手はあるんだよ。今日お兄ちゃんがしてくれなかったら明日の試合でぼろ負けしてやるもん。」

 うあ……そう言う卑怯な手を使うのか?

「皆、悔しがるだろうなぁ……。」

「ちょっと待った!お前本当にそんな事するつもりか!」

「それはお兄ちゃん次第だよ。」

 優はそう言って、僕の頬にキスをする。

 ……むぅ……

 僕は思わず唸ってしまう。いつの間に優はそんな事を言う様になったんだか……。

 今回は完全に僕の負けである。いくら僕でも人様に迷惑をかけてまで拒否は出来ない。

「あぁ……もう……わかったよ。僕の負けだよ……。だけど優、一回だけだよ。それにこれからもしこんな卑怯な手を使ったら……わかってるね?」

「うん。ごめんなさい、お兄ちゃん。もうしません。」

 優は実に素直に謝る。そしてその口調がこれまた凄く可愛いのだ。そこで僕はふにゃっとなってしまうのだ。

「うんうん、解ってくれればいいんだ。」

 僕は、優のほっぺたを両手で挟むと、ごく優しく唇をあわせる。

「んっ……お兄ちゃん……。」

 僕は、優の首筋に舌を這わせてやりながら、股間の方に手を伸ばす。優のその部分は既に堅くなっていて、パジャマ迄じっとりと湿らせていた。

「何だよ優……凄いな……これ。」

 僕は指についた優のぬるみを口に持って行く。それを優は何の躊躇いもなく口に含み、ちゅぷちゅぱと指ごとしゃぶる。僕はその間も優のパジャマをはだけながら乳首に舌を這わせる。

 優は、ヒクッと身体を震わせ、実に可愛く喘ぎ始める。

 うぅん……お兄ちゃん……そこ……そこ……いいのぉ……お兄ちゃん……もっと……ひぃっ

 僕は優のその綺麗な突起を口に含み、軽くかんでやる。

「お、お兄ちゃん……。お願い……さっきからお尻がじんじんしちゃって……。」

「何が欲しいの?言ってごらん、優。」

「お兄ちゃんのが、お兄ちゃんのが欲しいのぉ……。」

 僕は、優の唾液でたっぷりと濡れている指をペロリと舐め、優の菊座にあてがいクニクニと弄りまわす。

「やっ……やぁん……それじゃないのぉ……。」

 そう言って優は僕の憤りをぎゅっとつかんで、自分の菊座にあてがおうとする。しかしそれを僕はさせない。

「優、きちんと言ってみな、何が欲しいんだい?」

「お兄ちゃんの意地悪ぅ、これぇ……お兄ちゃんのちんちんを僕のに挿入て欲しいのぉ……。」

 優は必死に僕の憤りを探って自分の方へ導こうとする。それを再び僕はかいくぐり、優のヒクヒクしている、その部分に舌を這わせる。そして、舌を尖らせて優の内部に侵入させた。

「ひゃうっ……お兄ちゃん……お兄ちゃん……ひぃっ……温かいよぉ……いいっ……きゃぅん。」

 優は歓喜の声をあげる。そして、先程の発言とは裏腹に僕の頭を脚で挟み込み離すまいと力一杯締め付けてくる。

「やぁん……お兄ちゃん、もう……もう……出ちゃうよぉ!」

 僕は空いた方の手で、優の先端をくりくりといたぶる。その途端、万力で締められているんじゃないかって位に力一杯頭を閉められ、優はぴゅるっと勢い良く射精する。絶頂に達して、力が抜けている優の脚をはずし、僕は軽く頭を振る。

「ふぅ……。気持ち良かったの?優。」

 優は顔を赤らめてこくんと頷く。その仕種がとても可愛く、僕はキュンとしてしまう。いろいろな面を見せてくれる優だが、少し恥じらった仕種をした時の優は、誠に色っぽい。その表情を見てしまうと僕は優を抱き締めたまま死んでもいいって思う。

「そっか……じゃぁ、もっと気持ち良くしてあげる。」

 僕は、優が自身の腹の上に出した白濁を指で掬い取り、僕の憤りに塗り付ける。そして、さっき迄舌で愛撫していた為にふにゅふにゅになっている優のそこにあてがい、一気に突き入れる。

「ひゃうん、お兄ちゃん……お兄ちゃんのが入ってきたよぉ……」

 優のそこは相変わらず熱く、そして僕の物を絶妙に締め付けてくる。

「うっ、優の中……相変わらず、気持ちいいよ…….」

「ほんと?嬉しいな……あんっ。」

 僕は優の中を思う存分味わう。僕は体位を入れ替え、優を抱いたまま布団の上に座り込む。

「あひっ、お兄ちゃんのが奥迄来ちゃったの……お兄ちゃんので一杯だよぉ……。」

 優と僕は今、向い合せに座り込んでいる。さっき迄萎えていた優のそれは再び頭をもたげ僕の腹に当たっている。優は僕の首に腕を廻しぎゅっと抱きついている。耳許に優の荒い息遣いが伝わってくる。

 僕は、優のサラサラとした髪をかき抱き、思いっきり腰を動かし始める。優も自分から腰を使い始めている。

「お兄ちゃんっ……いいっ……いいの……お尻がじんじんするのぉっ。」

 優のすっかり大きくなったそこの先端は濡れそぼり、僕の腹でにゅるにゅると動いている。

「あっ……あっ……あっ……また出ちゃう……もう……我慢出来ないよぅ……。」

 暫くの後、優は二人の腹の間に熱い迸りを放つ。そして僕は余裕を持って優の中に射精する。

「お兄ちゃんの熱いのがボクの中に入ってきたよ、お兄ちゃん……大好き!」

 そう言って優は僕の事をぎゅっと抱き締める。それがいじらしくて、ついつい僕もそれに応えてしまう。



 PiPiPiPiPiPi……

 僕は目覚まし時計のアラームに叩き起こされる。

(ヤバいっ今日は寝坊出来ないっ。昨日は結局3回もやっちゃったもんなぁ……)

 僕が慌てて布団から飛び起きると、横にいる筈の優がいない。玄関に行ってみると靴が無い……荷物はあるのに……どこ行ったんだろ?しかし、ただ待っていてもしょうがない。荷物はあるんだから絶対に帰ってくるだろう。僕は朝食の準備を始める。

 簡単に朝食を作り、テーブルにそれを並べていると、優が汗をかいて戻ってきた。

「どこ行ってたんだい?優。」

 僕は優に問う。優はその火照った身体を手近にあった下敷きで扇ぎながら答える。

「うん、なんか緊張しちゃってさ、早く起きちゃったから、あそこの公園で走り込みと素振りをしてきたんだ。もう絶好調だよ、お兄ちゃん。今日は絶対勝つからね。」

 そう言って最高の笑みを見せ、優はVサインを出す。

「そうか、頑張るんだぞ優。」

 僕は拳を握りしめ、優の前に突き出した。優はその拳を、パン!と勢い良く握ってきた。

「もち!」

 お互いの顔を見てニヤッと笑う。

「おっし!良く言った!負けんなよぉ。」



 僕達は少し遅れてしまった朝食を食べ終わり(それでもまだ時間に余裕はあったのだが)二人で会場に赴く事にした。優は、既に道着に着替えて僕と並んで歩いている。

 道着を着た優はいつもと違う雰囲気を漂わせている。まさに少年剣士と言う言葉が実にあっている。

「お兄ちゃん。ボクちょっと緊張してきちゃったよ。ちょっとだけ手をつないでいい?」

 優が僕の手を取り握ってきた。その手はじっとりと汗をかいている。

「うわ……凄い汗だな。大丈夫か?」

「うん。お兄ちゃんの手を握ってたら少し楽になったよ。」

 僕達は、はたから見たらどうなのかは解らないが、恋人同士手を取り合ってデートをしている様な気分で会場へ向かう。

 もう少しで会場に着くって時に、二人の時間は終わった。後ろから声をかけられたのだ。

「泉寺センパーイ!」

 優が慌てて僕の手を離し、後ろを振り向く。僕もつられて後ろを振り向くと、やはり道着を着た少し勝ち気そうな少年が息を切らして追い掛けてくる。

「先輩!お早うございますっ!」

 息を切らして走ってきた少年が、優に対して最敬礼に近い状態の挨拶をする。

 優は少し機嫌が悪そうに挨拶をかえす。

「何だ、健太か……お早う。あ、紹介するね。こいつは松岡健太。今日の試合の次鋒だよ。で、この人は日野明さん。僕の……、」

 そう言って優は言葉に詰まり、僕の顔を見上げる。どうやら僕の事をどうやって紹介しようか迷っている様だ。僕は握手をしようと少年の方に手を差し出しながら、優のフォローをする。

「えと、松岡健太君だね、よろしく。僕は日野明、優君のお祖父さんの会社で秘書をやっているんだ。よろしくね。今日は会長の代理で優君の試合を見に来たんだ。」

「そうですか、よろしく。」

 しかし、少年は僕の手を握ろうとはせず、逆に凄い目つきで僕の事を睨んできた。

 僕は差し出した手のやり場に困り、その手を頭に持って行きポリポリと頭を掻く。

「先輩、オレ先に会場に行ってます!」

 そう言って少年は早足でその場を後にして行った。残された僕達は暫し唖然としながらもまたゆっくりと歩き出す。

「なぁ、僕はどうやら彼に嫌われたらしいな。」

「ごめんね、お兄ちゃん。普段はあんな態度を取る奴じゃ無いんだけどね……。何かあったのかなぁ。」

 やがて会場に着いた僕達は暫しの別れとなる。

「優、頑張れよ。」

 僕は優の頭をクシャッと撫でる。

「うん、頑張るよ!」

 優は、満面の笑みを浮かべ、選手受付の方へ走って行く。僕は別に用意されている父兄受付の方へ行き、会場に用意されている観覧席の方へ移動する。そこには既に何人もの父兄がより良く見える場所に陣取り、ホームビデオをセットしていた。確かに自分の子供の晴れ舞台だ、親もそれを記録に残しておきたいのだろう。

 暫くして開会式が始まる。試合形式は総当たり戦で最多勝利校の優勝となる。着々と試合が進み、いよいよ優の学校の出番が来た。

 相手校はこの会場を提供した学校だ。どうやらそこそこに強いらしく、優の学校は苦戦するだろうと隣に居たどこかの親父さんが自慢げに話していたのが聞こえる。確かに面子を見てみると矢鱈とガタイのでかい選手が目立つ。

 先鋒は見事にこちらが玉砕してしまう。次鋒の松岡君は苦戦しながらもなんとか勝利をした。確かに公立校にしてはスポーツに力を入れ込んでいるらしく、かなり強い。

 中堅の子もかなり頑張ったのだが惜しくも一本を決められ負けてしまった。

 いよいよ、副将戦。優の出番だ。

 優は面を装着し、実に落ち着いた足取りで試合に望む。その顔つきは普段の優とは違い実に凛々しい。

 相手はと言うと、これまた一際ガタイがでかい選手である。

(わ、強そうだな。頑張れよ、優。)

 僕は胸の内で優にエールを送る。二人は開始線に歩をすすめ、一礼をした後正眼の構えで竹刀をあわせる。

「始めっ!」

 審判の合図と共に二人の激しい気合いが放たれる。

「ぅらぁ!」

「せぇあっ!」

 先手を取ったのは、優だった。相手の切っ先をはじきざま、すかさず面を繰出す。しかし相手も強者だ、紙一重で後ろに跳び去り体勢を崩しそうになった優の篭手目掛けて竹刀を振り降ろす。

 辛くも竹刀の鍔で受け止めた優はそのまま相手との鍔迫り合いになだれ込む。暫く力比べをしていた優が相手に弾かれ、大きくバランスを崩してしまう。

 パァン!

 その隙に相手の胴が決まってしまった。しかし、その判定は有効……まだ多少の余裕はある。

 しかし、見ている方は気が気では無い。

(そんな奴に負けるな!優!)

 僕は思いっきり祈ってしまう。

 優と相手の技の応酬が再び始まる。

 優はすばしっこい動きで相手の攻撃をかいくぐりながら隙を伺っている。しかし、もう時間が無い、決定打に欠けている優はそれを感じ取り、猛烈な打撃を始める。

「りぃやあぁぁぁぁぁ!」

 優の猛烈な攻撃と気合いに相手が怯んでいるのが感じ取れる。

(よし!今のまま打ち込んでけっ!)

 思わず拳に力が入る。

「めぇぇぇん!」

 優の裂帛の気合いと共にパシーンと乾いた音が響き渡る。

「一本!」

 主審、副審が一致して白い旗をあげる。

 やった!優の見事な面が決まり、僕は思わずガッツポーズを決めた。

 大将戦は、危なげの無いこちら側の圧勝で決まる。

 そして、昼休みになり僕は昼食を食べる為にいったん外に出る。優達は、仕出しの弁当が出るので教室で皆まとまって食べている様だ。

 近くの食堂でラーメンを食べ、会場に戻ろうとした時に今朝出会った松岡君が僕に近付いてきた。その顔はやっぱり挑戦的な顔をしている。

「先輩が呼んでるんだ、来いよ。」

 そう言って松岡君はどんどん先に歩いて行く。僕が後をついて行くとどんどんと裏の方に行ってしまう。

(裏庭?何でそんな所で優は待っているんだろう?)

 彼は、辺りに誰も居ないのを確認した後、僕に向かって本格的に敵意を剥き出しにする。

「おい、おっさん。おっさんは泉寺先輩のなんなんだよ!」

 ……いや……おっさんって……。

「何なんだ?一体……第一、僕はおっさんなんて年じゃ無いよ。それにいきなり失礼なんじゃ無いか?」

 僕は多少呆れながらも彼を諌める。しかし、返って来たのはより強い敵意であった。

「うるさいっ、オレが聞いてる事に答えろっ!」

 僕は、今朝言っていた事を忠実に復唱してやる。

「そうとんがるなよ。僕は優君のお祖父さんの会社の秘書なんだってば。会長が忙しくて来れないから、僕が代理で応援に来たんだってば。今朝も言っただろう?」

 僕が穏便に事を運ぼうとしているのを彼は遮る。

「嘘言うなよ!じゃぁ何で先輩はおまえのアパートに出入りしてるんだよっ、オレ知ってるんだぞ!」

 ゲゲッ……見られてるのか……。

「今朝だって、先輩が走ってお前んちに入って行くのを見たんだ!それだけじゃ無いぞ、先輩はしょっちゅうお前んちに行ってるのだって知ってるんだ!」

 げげげ、本格的に見られてるよ……。僕は少し動揺を押さえながらこちらへ主導権を移そうと努力する。

「あのさ、君は優の事ずっと見てたのかい?」

「オレの家がすぐ近くなんだよ。この頃先輩の様子が変で練習中にいきなりにやにやしたりしててそれで、そんな日は必ず迎えの車では帰らないんだ。そしたらこの間うちの近くで先輩がお前と二人で歩いてるの見つけたんだ。先輩があんなに甘えた様な口調で話しているの始めて見たんだぞ!オレ達の前では絶対に見せないんだぞあんな顔!」

 そう言って、彼は予め隠してあったのであろう竹刀を握りしめ僕に向かって来た。

 ひゅんひゅんと僕の目の前を竹刀が生み出す音と風が通り過ぎる。僕だって打たれたくは無い、のらりくらりとそれをかわし続ける。

「にげるなぁ!」

 もう……面倒臭くなって来たなぁ……

 バシッ

 僕は肩口にわざと彼の一撃を受けてやる。その痛さに顔を歪めながら竹刀を押さえ付け、少し脅しをかける。

「おい、いい加減にしろよ。僕だって温厚じゃ無いんだ。もう、僕に一撃入れたんだ、十分だろ?これ以上続けるってんなら本気で相手するぞ。」

 僕は、彼の腕を取り、少し捻りをいれる。こんな所で清水さんに教わった護身術が役に立つとは思っても見なかった。

「離せよ!くそおやじ!」

 その言い方にむっとして力を少し加える。

「いてーよ!離せぇ!」

「言葉遣いに気をつけなよ。僕だって伊達に優の兼任ボディーガードを任されては居ないよ。君には負けるつもりは無いからね。」

 彼は半ば半べそをかきながらじたばたと暴れる。動けば余計に痛くなるだけなのに……。しかし、ここだけ見ていると丸っきり僕がカツアゲしているみたいだな……やめよ。

 僕は彼を押さえていた手を緩める。涙目で腕を摩りつつ僕に更に悪態をつく。

「ちきしょう、お前なんかに負けないんだからな!先輩をお前みたいな奴に渡して堪るか!」

 そう言って、僕の横をすり抜け、どこかにいってしまう。実に後味が悪い。僕もやり過ぎたかなと反省しながら試合会場へ戻る。



 試合はその後も順調に消化され、優の学校は惜しくも準優勝になった。

 その帰り、僕は優の悔しそうな顔を見るのが辛かった。

「なぁ、優。頑張ったんだからいいじゃ無いか。な?」

「でもさ、お兄ちゃん。最後の僕の負けが無かったら優勝出来たかもしれないんだよ。」

 僕を見上げている優の眼は悔し涙で濡れている。

 優の最終戦、確かに相手が悪かった。優以上に素早く動き、しかもパワーも十分にのっている実に均整のとれたファイターだった。優はそいつ相手に善戦した。しかし最後の最後に結局一本を喰らってしまったのだ。

「自分ばっかり責める事無いって。優の悪いクセだよ。優は頑張ったんだそれは自分でも解ってるんだろ?」

 コクンと頷く優。

「じゃ、いいじゃないか。いい試合を見せてもらったよ。」

 すっかり日が落ちて暗くなった道を僕達はゆっくりと帰って行った。



 夕御飯を食べた後、僕は優に見つからない様に一人で風呂場に行き、昼間竹刀を受けた所を鏡に映す。

(痛い訳だよ……結構腫れているなぁ。)

 左肩の竹刀を受けた部分が赤くなって腫れ上がっている。僕はシップを張り付けなんにも無かった振りをして居間に戻る。

「何してたの?お兄ちゃん。」

 優がテレビを見ながら話し掛けて来た。どうせ臭いで解ってしまう、それならと少し嘘をついて優を安心させようとした。

「ん?ちょっと肩がこったんでシップを貼って来たんだ。」

「そう……じゃ、僕が肩揉んであげるよ!」

 そう言って優がこっちに来る。

「いや!いい!大丈夫だから!」

 僕は必死になって優の好意を拒否する。しかし優は執拗に迫って来た。僕が逃げ回っている間に、優がつまづいて転びそうになる。思わず僕の肩を優が思いっきりつかむ。

「っ!!!」

 僕も予期せぬ出来事に思わず声を漏らす。

「お兄ちゃん、僕そんなに強くつかんでないよ、そんなに痛かったの?」

 優は心配そうに見ている。僕は努めて平静を装うが優は勘弁してはくれなかった。

「ちょっと見せてよ、お兄ちゃん。肩こったなんて嘘でしょ。どっかぶつけたの?」

 そう言って僕のスウェットを脱がしてしまう。そして、今貼ったばかりのシップを剥がし、優は固まってしまった。

「お兄ちゃん、どーしたの?これ?すっごい腫れてるじゃない。一体何をしたらこんなになるのさ。」

 優は僕の顔を覗き込み詰問して来た。

「第一、今日は試合中以外はずっと一緒だったし、その間だってお昼以外にはずっとボクの視界に入ってたんだから。そんな腫れる様な事ある筈無いよ。それともお昼になんかあったの?」

「別になんでもないって。ただ単に昼休みにぼけっとして歩いていたら、ぶつけちゃっただけだから。」

 なんとか鉾先を変えようとする僕なのだが、その言葉を発した時に、優はとても悲しそうな顔をする。

「……わかったよお兄ちゃん。多分ボクの知ってる人に怪我させられたんでしょ……。お兄ちゃんは優しいもんね、いつだってそうなんだ。ボクに余計な心配かけない様にしてくれるんだよね。知ってた?お兄ちゃんが嘘つく時って右目がぴくぴくしてるんだよ。ただ甘えていた訳じゃないんだから……。なんでボクに正直に話してくれないの?そんなにお兄ちゃんを怪我させた人を教えたくないの?ねぇ何か言ってよ.」

 知らなかった、そんなクセがあったのか。僕の顔を覗き込む優。その顔はまるで僕の事を責めているかの様だ。

「悪かったよ、優。でも……これは、本当にぶつけたんだ。それで勘弁してくれ。頼む……。」

 僕は眼をぎゅっと瞑り優に対し頭を下げる。優は諦めたような顔をしている。

「うん、もう言わないよお兄ちゃん。お兄ちゃんの事を信じてあげるのがボクの役目だもんね。……でも、本当に大丈夫?」

「あぁ大丈夫だよ、優。さっきは不意を突かれたから痛かったけど、もう大丈夫。優が心配してくれたからね、痛みなんてどっかにいっちゃったよ。」

「それならいいけど……。お兄ちゃん、あまり心配させないでね。」

 優は僕の頬に唇を寄せ、軽くキスをする。



 一週間後、僕は優から実家に来て欲しいと連絡を受けた。僕は通用口(それでも普通の家の正面玄関より遥かにでかいのだ)のインターホンを鳴らす。

「あの、日野ですけれど。優君お願い出来ますか?」

 ちょっと待ってと言う返事の後に一人のメイドさんが出て来た。

「あら、日野さん。お久し振りね、珍しいじゃないの、こっちにわざわざ来るなんて。どうせ坊ちゃんから又我侭でも言われたんじゃないの?いいのよ、坊ちゃんが余り我侭言うなら、お尻叩いちゃっても。」

 彼女はケタケタと笑っている。

 優が小さい頃からいるって言ってた少しふくよかなメイドさんは、会った時から僕に結構親しく話してくれる。気さくな性格なので、堅苦しい正面玄関から入るよりも裏口から入って彼女と話す方が気楽なのである。

「坊ちゃんはお部屋にいるわよ。珍しくお友達連れて来たみたいだけど。そうそう、就職決まったんだって?これ、お祝いよ。」

 そう言って、メイドさんは小さな包みをくれた。

「あは、本当ですか?ありがとうございます。嬉しいなぁ。でも……彼の友達って……。」

「さぁ?私も初めて見た子だったわ。」

 彼女は肩を竦める。僕は疑問を残しつつ、優の部屋へ向かう。



 こんこん……

 僕は優の部屋のドアをノックする。優の部屋は屋敷の二階にあり、庭が一望できるとても見晴しのよい場所だ。

『はーい、だれ〜?』

「僕だよ、優。」

『あ、今開けるよ〜。』

 優の元気な声が聞こえ、カチャッとロックの外れる音がする。部屋の中に入ると、彼女が言っていた優の友達と言うのが正座していて……それは、僕も知った顔だった。この間、僕に喧嘩を売ってきた松岡健太……だったよな。

「お兄ちゃん、全部こいつから聞いたよ。この間の怪我、健太がやったんだってね。」

 優に睨み付けられて、健太は畏縮している。

「おい、優。もういいじゃないか……。過ぎた事なんだし、僕だって怒ってないんだから。」

「お兄ちゃんが良くてもね、ボクが許せないの!」

 優が怒っているのひさしぶりに見たなぁ。

「ボクが怒っているのはね、お兄ちゃんに怪我をさせたのもそうなんだけど、それよりも許せないのは、お兄ちゃんを騙して裏の方へ連れ込んだってのと丸腰相手に竹刀を使ったって事なんだ。」

「でもさ、健太君は優の事を心配してそう言う行動にでたんだからさ……勘弁してあげなよ。」

「そう……だからね、今日ここにお兄ちゃんに来てもらったのはねボクとお兄ちゃんの関係がここまでの仲なんだって言うのをこいつに解らせる為なんだ。健太……さっきも言った通り、ボク達は恋人同士なんだよ。逃げるのは許さない、僕達の事を見てるんだ。これがお前に対するボクからの罰だ。」

 僕に対する言葉とは全然違うなぁ……。

 健太は、消え入りそうな声で返事をする。

「……解りました……副主将……。」

 その顔は口惜しさで溢れかえっている。

「さ、始めよ、お兄ちゃん。」

 そう言って優は僕の首に手を廻して唇を奪ってきた。僕はその展開の早さについて来れず一瞬優のされるがままになってしまったが、優の事を突き放してしまう。

「ちょっと待った!優、解らせるってこういう事かいっ!それに健太君もだよ、なんで優の言いなりになってるんだよ。」

 僕が話を振ると健太はぼそっと話し始める。

「先輩はなぁ、俺達の憧れなんだ。皆には気さくに声をかけてくれるし、皆が何か困ってると必ず助けてくれるし、女の子にも人気あるし、何より凄く強いし、とってもかっこいいんだ。そんな先輩によりによってお前みたいな奴と付き合ってるなんて言われたら……。」

 確かにある意味自分の中で神聖化されていた人間が想像とはかけ離れていた時ってがっくり来るものなぁ。

「でも、今でも俺にとって先輩は目標だから……その先輩が見てろってんなら俺は見てるし逃げない……。でも……でもやっぱり男同士なんて不潔だよ!」

 そう言って、健太はきっと僕達の方を見据える。

「どう思っているかは健太の勝手だけどね、でも、決して不潔なんかじゃないよ。」

 優が再び僕の首に手を廻し僕に抱きついてくる。そして、躊躇している僕の服をゆっくりと脱がしにかかる。その行為に僕は声をひそめ優に耳打ちする。

「おい、優……本気で健太君の前でやるのか……?」

「勿論本気だよ。だって悔しいじゃない。あれだけ言われてるんだよ。見せつけてやるんだ。」

 そう言って、僕の口を自身の唇で蓋をする。

「む……ん……」

 暫くの間、優は僕の唇を貪る。勿論舌も入れてきた。ここまで来たらもうヤケだ、僕も侵入してきた優の舌を、思いっきり吸ってやる。

 温かい優の舌を絡め、こちらからも優の口内を攻めてやる。ちゅっちゅと淫らな音が洩れる。長いキスが終わり優と離れるとお互いの口に唾液の糸が渡されそれがキラリと光る。優はトロンとした目つきになっていて、もう健太の事なんか眼中に無いって感じだ。

 僕は優の服を一枚ずつ脱がしていく。シャツを……ズボンを……そして純白のブリーフに手をかけ、優の事を全裸にする。優のそこは既に大きく天を指している。その愛しい物に手を伸ばし、ゆっくりと愛撫してやる。

 そしてその間も僕は優の全身を舌で、指で、言葉で刺激してやる。その度に優は甘い声を出す。

「お兄ちゃん……もっとぉ……もっといっぱい優の事好きって言ってぇ……あんっ……そこいいの……や……ん。」

 ちらりと横目で健太の事を見ると、彼は完全に固まっている。ま、当然だろう。憧れの先輩が男に愛撫されて、少女の様な声を出しているのだから。

 可哀想だが、ここまで来たらこっちも止められない。大人しく見ていてもらおう。優が僕のズボンに手をかけずり降ろす。僕のそこもきっちりと大きくなっていて、トランクスをテントの様に持ち上げている。優はトランクス越しに僕の隆起を擦っていたが、不意に中に手を入れ、直に僕を攻めてきた。

「お兄ちゃん、これが欲しいよぉ。ねぇ、ボクのお尻に頂戴よぉ。」

 優は空いている方の指を自分の窄まりに挿入て慰めている。そこからは既にチュクチュクと淫猥な音が洩れている。

「じゃ、自分でこれをたっぷり濡らしなよ。」

 その言葉に優は引っ掛って脱がしづらい僕のトランクスを器用に脱がし、美味しそうに口に頬張る。

「ん、お兄ちゃんのおっきいのおいしい……。」

 優は自分の持てる限りのテクを使ってきた。おかげで僕は射精寸前まで追い込まれる。

「ちょっ……優、これ以上されたら出ちゃうよ。」

 優の事を離し、僕は優自身の手で窄まりが見えやすい様に仙果の様な尻をひらかせる。

「来て……お兄ちゃん……。」

 ぷっくりと膨れた優の窄まりはヒクヒクと蠢き実に艶かしい。僕は優の唾液で濡れてテラテラと光るそれを優の中に挿入する。

 もう数えきれない程優の中に侵入している筈なのに、優のそこは初めての時と変わらぬ……いや、それ以上に僕に快感を与えてくれる。

「きゃふん……お兄ちゃん……お兄ちゃんのいつもよりおっきいよ……健太に見られてるから?ひっ……ん、すごいのぉ……いいよぉ……。」

 優は僕のモノを離すまいときつく締め付け、快感を味わおうと自分からも腰を振り出す。前にも美里や美幸達に見られながらやった事はある。だが、あの時はこいつら殆ど酔っ払いだったし、なし崩し的なものがあったのであまり意識していなかったが、今回は全く状況が違う、素面の、しかも全くノーマルな子の視線を常に感じているのだ。何か凄く恥ずかしいのだが……クセになったらどうしよう……。

 僕はなるべく健太を意識しない様に、優を絶頂に追い込む事に専念する。健太の事などまるっきり眼中に無い優はおのが快楽に完全に身を委ねている。

「お兄ちゃん……もっと……もっと奥まで来てよぉ……んんっ……あっ……そ……ぅんっ……いいのっ……もう……ボクイっちゃうよぉ!」

 そして優の可愛いそこを手で攻め立てながら、僕も腰の動きを激しくする。

「あぁっ!でちゃうよぉ!もぉ……っ!」

 優は僕の手の平に大量の白濁を放出する。僕は手の平についたそれを優の乳首に塗り付けくりくりと弄ってやる。射精の余韻に浸っていた優はその刺激でヒクッヒクッと小刻みに身体を震わせる。その後僕も余裕を持って優の中に注ぎ込んだ。



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