僕の中のあいつ 第二部 第四章
 コプッ……

 優のとじ切っていないそこから僕が放ったものが滴り落ちる。優はそれも気にせずにふらふらと立ち上がり、健太の背後に回り込み、彼の背に身体を預ける。

「どうだった?健太」

 後ろから急に抱きつかれた健太はビクゥッと大きく反応する、今迄思考停止していたのが優の体重で復帰した様だ。

「どうって……先輩がそんな事しているなんて今でも信じられないですよ……。やっぱり不潔だと思う」

 健太は俯きながら答える。その答を聞いた優は、健太の股間に手を伸ばし、僕が時々優にやる様な意地の悪い口調で健太を責める。

「そう……不潔なんだ…….じゃぁ何で健太のここはこんなに堅くなってるの?その不潔な行為を見ていて感じたんじゃ無いの?ねぇ、答なよ」

「そっそれは……!」

 健太は恥ずかしさの余り耳迄真っ赤なっている。しかも、優の問いには答える事が出来ない。優はここぞとばかりに健太の耳朶を舐めあげて健太を嬲っている。手は相変わらず健太の股間を弄んでいる。

「やっ……止めて下さいっ、先輩っ」

「やだ、健太が答える迄止めない」

 優は調子にのって健太の耳の中に舌を差し込んでいる。

「おねっ……やめてく……さい」

「だから、答えれば止めるってば」

 健太は唇を噛み何かを我慢している。だが、優は容赦せず健太を攻め続けている。

「…………!」

 健太は声にならないうめき声をあげる、そして涙をぽろぽろと落とし嗚咽をあげ始めてしまった。あーあ、泣かしちゃったよこいつ……。

 優は股間に伸ばしていた手を自分の鼻に当て、クンクンと匂いを嗅いでいる。

「イっちゃったんだ。不潔なボクに弄られて……結局健太だって変わり無いんじゃ無いか。男同士のセックスを見て、興奮しちゃってさ……その上、僕に弄られて出しちゃってるじゃん。なんだよ、変態」

 優は、かなりきつい言葉で健太を責めている。優の事だからすべて計算尽くなんだろうが……あれを強制的に見せられた後のこれでは……いくら何でも可哀想だろう。

「だって……だって……。ひどいよ……先輩……ひどいよ……」

 健太はぼろぼろと涙をこぼしている。僕はちょっと見ていられなくなってきた、健太に助け舟を出すことにする。

「いい加減にしないか、優。それじゃ、あまりに健太が可哀想だろうが。それにどうするんだよ、健太だってそんなんじゃ家に帰れないだろ」

 健太の穿いているズボンのそこは自身が放った精液でじっとりと濡れて色が変わってしまっている、それに青臭い匂いが立ち上っているのは確実だ。これで、電車で帰れっていったら鬼だぞ…….

「解ってるよ、そんなのお兄ちゃんに言われなくたってね。ほら、健太。ズボンとパンツ洗ってくるからそれ脱ぎなよ」

 優が健太のズボンを剥ぎ取ろうとする。それを健太は必死になって防ごうとする。

「やだっ!止めて下さい!先輩!」

「だってさ、真面目な話そんなかっこじゃ帰れないよ、健太」

 優は少し真面目な顔つきをして言うと健太も少し冷たくなってきた股間に眼をやる、そして自分からズボンに手をかける。

「先輩、俺自分で脱ぎます。わざわざ先輩に脱がしてもらわなくても結構です」

 健太は立ち上がり、潔くズボンとパンツを取り去る。完全に包皮で包まれているそこは自身が出した白濁で濡れている。そしてズボンを優に手渡した健太は僕の視線に気がつき、慌てて股間を手で隠す、でも遅いもんねもう見てしまった。

「みっみるなよぉ!」

 さっきから見て思った、普段は憎らしい位につんけんしているが、泣いている時とか今みたいに恥ずかしがっている時の健太は年相応の可愛い仕種をちらっと見せる時がある。

 優が部屋をでていった事を確認し、僕は健太に謝罪をする。

「あのさ、ごめんよ。優があんな事するなんて思って無かったからさ」

「何言ってんだよ、自分だって調子に乗ってたじゃないかっ!」

 健太は顔を真っ赤にして怒っている。

 ……確かに、言い訳出来んわなぁ……

「……二人していちゃいちゃしやがって……こっちの身にもなって見ろってんだ」

 ほんっと、優の前と僕の前で口調の違う奴だな……僕は少しむっとして健太をたしなめる。

「あのな〜、少しは言葉遣いを改めろ。いくら僕のことが嫌いだからってなぁ、ものには限度ってもんがあるぞ」

 すると健太は更にくってかかってくる。

「うるさい、お前なんかお前で充分だ。ばーか」

 こいつ本当に喧嘩売ってやがる。マジにむかついてくるぞ……。

「それは何かい?僕に対して喧嘩を売っているのかな?」

 努めて平静を装い、健太ににっこり微笑んで聞いたつもりだったが、顔がヒクヒクと引きつっているのが自分でもよく解る。

「やっと解ったのかよ、鈍感!鈍ちん!」

 健太は僕の目の前に大きく見開いた眼を寄せてきた。その眼は明らかに僕を挑発している。少し懲らしめてやるかな……僕が座っている為に、見下す形をとっている健太の胸倉をさっと掴み、健太の事を思いっきり引き倒す。

「わわっ!」

 いきなり引かれた為に健太はもろにバランスを崩し、僕の方に倒れ込む。優よりも軽いその身体を僕は苦もなく入れ替え、腿の上に健太を転がす。

「なっ何すんだ!ばかやろー!」

 健太は手足をジタバタさせて暴れるが上から押さえ付けてあるので殆ど効果は無い。

「何って決まってるだろ。聞き分けのないお子様にお仕置きをするんだよ。言っても聞かない子にはこうするのが一番だからね」

 僕はそう言って、健太の露になっているお尻を思いっきり引っ叩く。

 ぱぁん!

 小気味のよい乾いた音が優の部屋に響く、同時に健太の罵声も……

「いてーよっ!やめろよっ!」

「だから、その口調を改めたら止めてあげるって言ってるだろ」

 ぱしん!ぱんっ!

 2発3発と健太のお尻を叩く。真っ白なお尻が、手の形通りに赤く染め上がっていく。

「まっ、負けるもんかっ!お前なんかに負けないぞっ!」

 健太は歯を食いしばって耐えている。……なかなか根性はある様だが……こんな事に根性を出さないで欲しい、こっちの手が痛くなる。

 もう何発叩いたかなぁ、健太のお尻も満遍なく真っ赤に腫れ上がり、僕の手も痛くなってきた頃、優が健太のズボンを持って帰って来た。

「あう……お兄ちゃんは何をしているの……」

 部屋に入りざま硬直する優。

「何って……聞き分けの無い優の後輩君にお尻ペンペンしてたんだけど……」

 僕は振り上げていた手を降ろし、健太を解放する。ぼろぼろ泣いていた健太はぐいっと涙を手の甲で拭い、僕から離れる。それを見ていた優は深い溜息をつき健太をたしなめる。

「健太、一体お前は何をしたんだよ。お兄ちゃんはよっぽどの事が無いと手をあげないんだぞ」

 健太は今迄泣いていた為、鼻声で優に抗議をする。

「先輩、何で先輩はこんな奴の肩ばかり持つんですか?そんなにこいつの事が好きなんですか?こいつの言う事なら何でもするんですか?」

「うん」

 優は事も無げにさらりと答える。

 余りにあっさりしているその答に健太は絶句する。その表情は絶対納得出来ないって顔だ。優はその顔を見て、今度は健太に質問をする。

「じゃさ、健太は僕の為に死んでくれって言ったら死んでくれる?お兄ちゃんはそう言う目にあっても僕の事好きでいてくれているんだよ。お兄ちゃんの身体を見てごらん、傷だらけでしょ」

 優は、決して語りたく無いであろう、あの忌わしい事件の事をぽつりぽつりと語り始める。今迄のらりくらりと躱し続けていたらしい自身の胸の傷に関する事迄、全てを……。

 優が全てを語った時、健太は泣いていた。

「先輩……そんな、そんな惨い目にあってたんですか……。全然教えてくれなかったじゃ無いですか……」

「だって、言う必要性は全く無いし、ボクだって話したくないもの。でも……お兄ちゃんの気持ちも知らないで突っかかっていってる健太を見てるのがさ……」

 話している間に僕の横に移動していた優が、僕の胸に顔を埋める。優もまた、泣いていた。僕は優の頭を優しく撫でてやる。

「……よく……言ったな……言いたくなかったろうに……」

 僕の胸で頷いている優。僕は優の為に健太に話す。

「解ったかい?それに優が剣道部に入った理由を教えてあげるよ、これは僕が帰国してから知ったんだけどね……もう二度と僕の身体に傷がつくのを見たくないんだそうだ。だから、自分の身は自分で守れるようにってね。そして僕もね、あっちで護身術と拳銃の扱い方を覚えて来たよ、それにISSの標準装備も手配してもらったよ。やっぱり僕も同じ理由でね。好きな子を守れないでどうするんだって思うだろ?」

 僕は最高の笑みを持って健太に微笑みかける。

「うん、ごめんなさい。俺が悪かったよ」

 案外素直に謝る健太。

「でもカッコいい!俺感激しちゃったよ!なぁ、これから師匠って呼んでもいいか?俺あんたみたいな男になりてぇ!優しくって……カッコよくって……で、強いんだ!尊敬しちゃうよ!」

 わ〜、凄い変わり様だ……ま、ことごとく嫌われるよりはましか……。

 優も、その態度の豹変振りに苦笑しながら僕に抱きついている。

「よかったね、お兄ちゃん。弟子が出来たよ」

 ははは……

 僕は少し乾いた笑いを漏らす。

「これからよろしくお願いします!師匠!」

 健太は僕に向かって最敬礼をする。……解った、解ったからフルチンでするな……そんな事……。

「あ……うん。よろしく……」

 目の前に差し出された手を握りながら、気勢を削がれた僕は気の無い返事をする事しか出来なかった。



 それから、健太はしょっちゅう僕の部屋に遊びに来る様になった。下手をすると優よりも頻繁に来ている。確かに家が近いからってのはあるが、僕が会社から帰ってくるのを忠犬ハチ公さながらに待ち構えているのは少々困ったものである。

「師匠!お疲れ様でした!」

 ニコニコしながら、玄関前で僕を待ち構えている健太を見て僕はこめかみを押さえる。

「健太〜。お前この頃ずーっと来てるけど、宿題とかしてんのか〜?言っておくが、学業を疎かにするんだったら弟子入りの話はないからなぁ」

「大丈夫だって!って言いたいんだけど……師匠って、外国行ってたんだよね。英語出来る?」

 少し不安げに僕の事を見る健太。……伊達に2年もアメリカに居たんじゃないってとこ見せてやる。

「どれ、どこが解らないんだ。見てやるから、とにかくあがれよ」

 中学生が習う英語なんて、実際滅茶苦茶簡単だ。しかし何だね日本の英語レベルってのは本当に低いって思う。中学高校と6年間も英語を習っても、日常会話の役に立ってないもんな。僕は健太に理解しやすいように教えてやり、また発音の仕方等のコツも少し教えてやった。健太は改めて僕の事を見直したらしく目をキラキラさせている。

「師匠!師匠って凄いよな。何でも出来ちゃうんだもんな。俺びっくりしちゃうよ。先輩が惚れちゃうのが解るよ」

「え?あはは、そぉ?」

 てれてれ……僕は少し恥ずかしくなって頭をポリポリと掻いている。

「うん……それでさ……あのさ……」

 何か言い出し辛そうにモゴモゴとしている健太。

「何だよ、健太。いつものお前らしくないな」

「あっ、あのね!先輩見てて思ってたんだけどさっ!」

 何だよ、焦れったい……

「……俺にもキスの仕方教えてよ」

 最後の方は消え入りそうな声で、とんでもない事を言う健太。思わず僕は我が耳を疑った。

「は?」

「いや……あの……師匠達のを初めて見た時から思ってたんだ……。気持ちいいのかなって……、でもって、師匠の家に来る様になって一緒にいる先輩が凄い幸せそうで……羨ましくって……、で……師匠にお願いしたら教えてくれるのかなぁって……」

 うあ……失敗したかなぁ……

「だって、健太……お前迄男色に染まる事無いだろうに……早まらない方がいいと思うけどなぁ……」

「師匠は俺の事嫌いか?」

 そう言って真直ぐに僕の事を見つめる健太。ああっそんなに見つめないでくれっ。

「いや……嫌いじゃないけどさ……」

 今度はこちらがモゴモゴする番になってしまう。しかし……何で僕はこう男の子にばっかりせまられるんだろう……。

「お願いだよ。俺、師匠以外にこんな気持ちになった事無いんだよ。男にだって女にだって……。この頃師匠の前に出ると胸がどきどきしちゃってどうしようもないんだ」

 きっと、恋に恋するって奴なんだろうなぁ。少し当て付けが過ぎたかなぁ……。健太に悪い事をしたな。しかし今さら反省したところで状況は変わらない。健太は僕の横に来て腕を捕え、じっと僕の顔を見つめている。参ったな……。

「後悔……しないな?」

 僕はあさっての方を向きながら健太に問う。

「後悔なんかしないよ。後悔する位だったらこんな事言うもんか」

「解った……おいで、健太」

 僕は健太の頭に腕を廻し、そして自分の唇を健太のそれに重ねようとした。まさにその瞬間……

「ただいま〜!」

 びくぅっ!

 健太と僕はお互いに飛び退き宿題を見てやっていたかの様な体勢に戻る。優がいきなり入って来たのだ。

 ドキドキドキ……

 心臓が飛び出すかと思った……。

「おっ、お帰り。優」

「おっ、お疲れ様でした。先輩!」

 どうやら、健太も相当ビビッたらしい。声が裏返っている。

「ただいまっ、健太もよく遊びに来るよねぇ、この間迄お兄ちゃんに喧嘩売ってたなんて思えないよねぇ」

 優がのほほんとこっちにやってくる。

「そ、そうだな、でな、健太、ここの例文はちょっと変わってるんだ」

 僕は手近にあった教科書を開き宿題を教えている体裁を整える。それに健太も呼応してくれる。

「そうなんだ、師匠」

「宿題?お兄ちゃんは頭良いからとても解りやすく教えてくれるでしょ」

 そう言って僕の頭越しに覗き込む。そして、やおら僕の頭を抱え込み、ヘッドロックをかけてくる。

「アイタタタタタ!何するんだよ!優!」

「明お兄様……ボクがいない間に健太君と何をしようとしていたのですか……?」

「何がッ!なんなんだ一体!」

 優が思いっきり丁寧に聞いて来た。僕に対してこの口調を使う時は、すこぶる怒っている証拠だ。

「何がも何もないでしょう……数学の教科書を開きながら、英文の授業が出来ると思っているんですか?ねぇ?」

 しまったぁ!適当に開いてたのは数学だったのかぁ!優は更に強く僕の頭を締め上げる。

「正直に言えば良し。じゃなかったら……首……絞めるよ……」

 恐ぇ!マジ恐ぇ!こいつ本気だ……。僕は血の気がザザーッと引くのを感じる。

「解った!解ったから首絞めるのは勘弁!話すから離れてくれっ!」

 その様子を見ていた健太がいきなり優の腕を離そうとして来た。

「先輩!ごめんなさい!師匠は悪くないんです。俺が師匠に無理矢理頼んだんです!だから師匠の事離してあげて下さい!」

「ぐえぇっ!」

 健太が優に抱きついた拍子に優の腕がずれて僕の首を絞める。

「わわっ!ごめんお兄ちゃん!」

 優が慌てて絡めていた腕を解放する。

「ごっごめんなさい師匠!」

 健太も慌てて謝罪する。

「もう……優に首を絞められるのはあれでこりごりだよ……まったく……」

 僕がそう呟く。

「ごめんてば、お兄ちゃん。冗談に決まってるじゃない。それとも、ボクが本気でお兄ちゃんの首絞めると思っているの?」

 ……いや、あの口調、力の込め方……絶対本気とみた……。しかしそれを言ったら、本当に首を絞めて来そうだから言わないでおこう。

「あ、なんかお兄ちゃん信じてないし……」

 う……ばれてる……。そんな僕と優のやり取りを見ていた健太が言葉を発する。

「あの……スイマセンでした。師匠、先輩。もうあんな事言いません。ごめんなさい。俺帰ります」

 そう言って、健太は教科書をしまい、帰り支度をしはじめる。ちょっと寂しそうな健太の顔を見てしまい僕は思わず健太の腕を掴む。

「おい、ちょっと待て、健太。お前それで納得いくの?」

 健太はいつもと違う力の無い笑みを浮かべる。

「だって、よく考えたらいけない事だよ。師匠は先輩の恋人なんだからさ……」

 今の会話を聞いた優が再び僕の首に腕を廻す。

「どう言う事?何かとっても疎外感があるんだけどさ……。説明してくれるよね?」

 僕は優の無言の圧力を感じ、からからになった喉をなんとか駆使し言葉を出そうとする。

「いや……だからさ……頼むから先にその腕を離してくれ、説明しにくいんだが…….」

「いいです師匠、俺から話しますよ。先輩、師匠の首を絞めるの止めて下さい」

 優が不承不承と言った感じで僕の首から腕を離す。……助かった……。

「実は、俺から師匠にキスしてくれって頼んだんです。最初、師匠も断ってたんだけど……俺がどうしてもって言って無理に頼んだんです……。だから師匠は何も悪くないんです」

「そこに優がいきなり帰って来たから慌てただけだよ。そう言う事、解ってくれた?優」

「解ったには解ったよ。健太から誘ったのね、お兄ちゃんが無理矢理健太に迫ったんじゃないのね?」

 するかい……そんな事…….僕がすかさず心の中で突っ込みを入れると同時に健太が肯定の返事をする。

「で?もうしたの?キスは」

「してないしてない。しようとした所に優が帰って来た…….」

 僕が投げやりに言う。すると優が実にあっさりと言い放つ。

「じゃ、すれば?思いっきりしてあげなよ、お兄ちゃん」

「……はい?」

「……え?」

 僕も健太も優のそのあまりにあっさりした言い方に思わず聞き返してしまった。

「だから、キスしてあげたらって言ってるの」

「え……だって、あの……先輩はいいんですか?師匠は先輩の恋人なんでしょ?」

「良くはないけど、ボクがいいって言ってるからいいの。気にしないでいいよ」

 言っている事が無茶苦茶になっているぞ、優……。

「せっかく、健太が認識を改めたんだからね。お兄ちゃん、健太の気が変わらないうちにブチュッと、ほら」

 そういって優は僕を健太の方に押していく。

「おいおい、優ちょっと待てよ、健太はこういうの初めてなんだ、お前が居たらリラックスして出来ないと思うぞ」

 実際問題として健太は優がいる事で凄く恐縮しちゃっているのだ。これが優だったら誰がいても気にしないでやると思うのだが……。

「そぉ?じゃ僕、あっちの部屋でパソコンいじってるよ。もうすぐあのゲームクリア出来そうなんだ」

 優は、今ハマっている戦略シミュレーションゲームをやりにとっとと向こうの部屋へ行ってしまう。早速電源を入れたのかマシンの起動音が聞こえる。ちなみに僕がどうやってもクリア出来ないレベルをあいつはいとも簡単にもうすぐだよと言っているのだ。ううっなんか悔しい……。

「あのさ、師匠……」

「ん?なんだ?」

「いいのか?本当に……その……」

「あぁ、優の事?」

 健太がこくりと頷く。

「別にいいよ。本人がいいって言っているしね。あいつはそんなに焼もち焼きじゃないから」

 僕があっはっはと気楽に笑うと健太もつられて笑う。

「でもさ、さっきの先輩は絶対に師匠の事怒ってたよな。俺すっごく恐かったもん」

 僕は少し小さな声で健太に耳打ちをする。

「優が怒ってたのはね、多分自分の知らないうちに何か面白そうな事をしていたんじゃないかって思ったからだと思うよ」

「え?面白い事って言ったって……」

 僕は健太に向かって人さし指を口の前で立てる。そのサインを了承した健太も小声での会話になる。

「だって……そんなに面白い事なんて……」

「あいつには面白いの、今だって絶対こっちの様子伺ってるぞ」

 そう言って僕は静かに立ち上がり優が入っていった部屋のドアの前に立ち、健太を手招きする。そして、一気にドアを引くと、コロンと優が倒れて来た。

 一瞬バツの悪そうな顔をした優はえへへと笑う。

「み……つかっちゃったね……。やっぱり解っちゃった?」

「解らいでか、どれだけ付き合ってると思ってるんだ。お前がこっちの様子を伺う事位、予想済みだよ」

「あ〜、やっぱり〜……ねぇ、みてちゃ……」

「ダメ!美幸んちでも行って暫く遊んでろ」

「美幸達なら居ないよ。出張だって言ってたもん。ね〜、いいでしょ〜」

 出たな……必殺おねだり攻撃。とことん甘えた顔をして僕の側に寄ってくる。この顔には弱いんだよなぁ……でもダメだ。

「ダメったらダメ!じゃ、ゲーセンでも行って遊んで来なさい」

 甘え顏が効かないと見ると今度は少し寂しそうな顔をしてぼそぼそと、とんでもない事を言いはじめる。

「わかったよ、お兄ちゃんはボクがゲーセンに行って遊んでいる間にまた誘拐されちゃってもいいんだ……」

 あ、テメーそれ言うか……。でもそれはさすがに願い下げだ。

「わかったよ、優。僕の負けだ。ここに居ていいよ」

「さすがお兄ちゃん、話がわかるよねっ」

 その言葉を聞いた優は実に嬉しそうに振り返る。しかし、こっちだってやられてばかりじゃない。次の瞬間の優の表情が楽しみだ。

「優はここにいろよ。僕達は美里達の部屋を借りるから。ちゃんと留守番してろよ」

 僕は彼等の部屋の合鍵を優の前にちらつかせ、わざとらしく健太の肩を抱いて、玄関へ向かう。優は一瞬ぽかんとした後に大声で喚く。

「ず〜る〜い〜!」

 いくら大声で喚こうが僕の知ったこっちゃない。

 僕が玄関で靴を履こうとした時に不意に服の裾を掴まれた。それは今迄黙って僕らのやり取りを見ていた健太だった。

「あのさ、師匠……。先輩が可哀想だよ」

「いいの、いいの。たまには自分の思い通りにならない事だってあるって教えてあげないとな。さ、いくぞ健太」

「……でも……」

 健太はまだ優に気をつかっている。先輩思いのいい後輩だな。

「いいから、いいから。放っておけばすぐに忘れるって」

 僕は健太を促す。

「やっぱり、俺ここでいいよ。先輩の彼氏を借りるんだ、それ位しないと」

 まったく……優と言い、健太と言い……こいつ等はなに考えてるかなぁ。

「はいはい、解ったよ。お前達の好きな様にしろ。おい、優、健太がここでいいってさ。健太に感謝しろよ」

 僕は健太を連れて居間に戻り、床に胡座をかく。

「健太、気持ちの整理がついたら、ここに座れ」

 僕は自分の膝の辺りを指で指し示す。数瞬後健太はおずおずと僕の胡座の上に横向きになって座って来た。優は、健太の向いている方向でこのイベントをしっかり見ようと陣取っている。その表情はまるで今からとても面白い映画を見るのにワクワクしているかのような顔を隠さずにいる。

(優は居ないものとして進めるしかないな。)

 僕は健太の上体を捻ってこちらを向かせ、二本の指で健太の顎を固定する。

「いいね。いくよ」

 肯定の代わりにすっと健太の目蓋が閉じる。僕は優しく、壊れ物を扱うように本当に優しく、唇を重ねる。

 数秒間の軽い接触の後、僕は健太の唇から離れる。

「気がすんだか?」

 僕がそう言うと健太はふるふると首を振る。

「違う、俺がして欲しかったのは……先輩としていた時の様なやつだよ」

 まったく……

 僕はもう一度健太の顎を捕らえ、再び唇を重ねた。

 軽く健太の唇をついばみ、緊張を徐々に和らげてやる。そして、健太の力がフッと抜けた頃合を見て、健太の口内に舌を伸ばしてみる。反応は暫くしてからあった、健太の舌がおずおずと僕の舌におっかなびっくり接触して来る。

 僕は健太の舌を自分の舌で軽く弄んでやる。健太も自分から僕の舌を吸って来ている。

 ちゅくっ……ぴちゃっ……と言う音が響くに連れ、健太の息もどんどん荒くなってくる。

「どう?健太。キスの味は」

 僕は一度唇を離し、健太の様子を伺う。健太は顔を真っ赤に上気させている。

「こんなに気持ちいいなんて思わなかった……師匠、もっとして欲しい……」

 潤んだ目つきで、健太は僕にキスをねだってくる。いつもの勝ち気な表情と違って、その顔は凄く艶っぽくなっている。僕は健太のその要望に応え、三度口づけを交わす。

 ふぅ……ん、うんっ……

 健太もなれて来たのか、自分から舌を差し込み、僕の舌に思いきり絡めてくる。

 長い……長い口づけを躱していると、健太のお尻が何かもぞもぞ動き始める。座心地が悪いのかと、ふと下を見ると、健太の手が自身の股間をズボンの上から弄っている。

「どうした、起っちゃったのか……」

 健太はコクリと頷く。

「師匠とキスしてたら、どんどん硬くなってきちゃって……。我慢出来なくなったんだ」

 その切なそうな表情を見て、僕は健太の股間に手を伸ばす。ビクッと健太は一瞬身を捩るが、すぐに僕に身を委ねてしまう。暫くズボンの上から健太のモノを擦ってやり、ゆっくりとジッパーを降ろす、そして少し前の優みたいな可愛らしい、しかしきっちりと大きくなっている健太のその場所を直に触る。

 そこは、既に透明な物がしみ出していて、先端をヌルヌルにさせている。

「何だ、凄いな健太……。どうする?一旦イクか?」

 僕は健太のモノを扱きながら、耳打ちをする。健太は荒い息遣いをしながらこくこくと首を上下させる。

 シュッシュッとリズミカルに健太のモノを扱きながら、何度目かの口づけをする、今度は健太の口内を余す事無く攻め立てる。

 その舌の動きに翻弄されながらも、必死に僕にしがみつき、舌を絡めてくる健太。自然に腰の方も動き始めている。

 そして……

 とぷっ……

 健太は僕の手の中で果ててしまう。僕は、手の中にある白濁を口に含み、健太の口内へ流し込んでやる。健太は少しためらった後、僕の唾液が混ざったその白濁を嚥下する。

「どうだ?気が済んだかい?」

「師匠、ありがとう……。でも精液って変な味するんだな」

「はは……そうだな。……よし、もうお開きにしよう。そろそろ帰らないといけないんじゃないか?」

 既に日は暮れてしまい、辺りは真っ暗だ。

「まだ終わってないって」

 優が茶々を入れてきた。よく見ると、優は服を全部脱いでいた。

「何をやっているんだ、君は」

 僕が優のその格好の事を突っ込むと、平然とした顔をして優が返してきた。

「健太。お兄ちゃんにして貰ってばかりで悪いと思わないの?せめてお兄ちゃんの事気持ち良くしてあげてから帰っても良くない?」

 いや、そんな事必要無いってーの。その一言を言う前に健太が了承の言葉を発してしまう。

「そうですね、先輩。俺ばかり気持ち良くなっちゃいけないですよね。でも……俺あまりやり方わかんないです」

「大丈夫。ボクが教えてあげるから、一緒にやればいいよ」

「いやいいから、マジでいいから!」

 僕は必死に断わりを入れる。これ以上進んだら、こいつマジで男色の世界に入っちゃうよ!

 しかしそれは空しい努力としかならなかった。

「でも。俺……今やっと解ったよ。俺、師匠の事好きなんだ。師匠が気持ち良くなるなら何でもするよ」

 その間に、僕は二人掛かりで衣服を剥ぎ取られてしまう。

「いい?健太。まず……」

 優がそう言いつつ、僕の乳首に吸い付いてきた。それを見て、見様見真似で健太ももう片方の乳首に吸い付いてくる。

 ぴちゃっぺちゃっ……

 二人は徐々にその位置をずらし、僕の全身を愛撫していく。さすがに健太の動きはぎこちない物だが……。

 そして僕の完全に猛っている物に二人が舌を伸ばす。

「いい?お兄ちゃんのここをね……そうそう、キャンディー舐めるみたいに……」

 優が健太に教えながら、僕のモノを左右から攻め立てる。

「そしたらね、今度は先端を口に含んで出したり入れたりしてごらん。あ、絶対歯はたてちゃダメだよ」

 健太は優の言う通りに先端を含み、頭を動かす。そのぎこちない動きがかえって新鮮な刺激となる。

「くっ……」

 思わず声が出てしまった。それを聞いた優が今度は健太の耳を舐めながら囁く。

「良かったね、お兄ちゃん気持ちいいって……」

 しかし、このままやられっぱなしじゃ僕のプライドが許さない。

「優」

 僕が一言言っただけで、僕の行動を察した優が健太の身体を巧みに入れ替え、僕の眼前に健太のモノが来るように誘導する。既に、その行為で興奮したのか、健太のそこは大きくなっていた。僕は健太のそれを舌でペロリと舐めてやる。優は優で健太の乳首に手を伸ばし攻め立てている。その刺激に身を捩りながらも、僕に奉仕している健太。

 暫くその体勢が続き、健太が一足先に僕の顔に勢い良く精を放つ。

「くっ……出すぞ、健太」

 僕も、そのまま健太の口内に放つ。

「けふっ……けほっ……」

 咽せながらも、僕の放った物を嚥下する健太。そこへ優の猛ったモノを差出し……

「健太、僕のもいい?」

 そして、今度は優のモノをしゃぶり出す。僕は健太の放った物を指で掬い、優の前に突き出す。優はそれを口に含み、僕の顔に残っている物まで丁寧に舐め取る。

「……ん、健太のおいしいよ」

 健太は耳まで真っ赤になっている。暫くの後、優も僕同様、健太の口内に精を放った。



 くったりとしている健太を抱きかかえ、僕らは三人でシャワーを浴びる。

「どうだった?健太。お兄ちゃんの味は」

 優が聞くと、健太は真っ赤になって答える。

「恥ずかしいから言わないです」

「なにそれ〜。ちゃんと言わないと、もうお兄ちゃん貸さないよっ!」

 僕はレンタル品か……

「あ、やだやだ。言いますよぉ。とっても良かったです。だから、貸さないなんて言わないで下さいよ、先輩」

 ……だから、僕の意志は……どこに行った……。

 まるっきり僕の意見を無視して、二人はきゃいきゃい騒いでいる。

 はぁ、この先どうなるんだろ……僕は一人で頭を抱えていた。





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