代    償
 恵の運命を変えたのは一本の電話だった。

『恵かい?俺だよ。』

「どうしたの、兄さん?」

 恵は、兄の進と二人で暮らしていた。両親は3年前に交通事故で亡くなっている。進は親戚が引き取ると言うのを頑として断り、高校を中退して働き出し、なんとか質素ながらも平和な暮らしをしていた。

 その進が、連絡も無しに外泊を始めて三日目の事だった。電話口の兄が少し暗い声なのが気になって恵は心底心配した。

「兄さん、3日もどうしたの?僕心配してるんだよ……早く帰って来てよ。」

『……あのな、恵……これから俺の言った所に来てほしいんだ。』

 進は、なんとも言い難そうな口調で話出す。

恵はその口調にただならぬ物を感じ取る。

「判ったよ兄さん。それでどこに行けば良いの?」

 恵は兄の指示された場所へ行くべく、家を出た。もうそこに帰る事が無いと言う事も知らずに……。

 兄に指示されたのは、とあるマンションの一室だった。インターホンに出たのは恵の知らない声だ。

「あの……兄に言われて来たんですが……兄はそちらに居ますか?」

 返事の代わりにガチャッとドアが開く。

「恵君かい?どうぞあがっていいよ。もう少しでお兄さん帰って来るからさ。」

 そう言って恵迎え入れたのは、少しクールな感じの青年だった。恵は素直にその招きに応じ、部屋にあるソファに座る。その様子を見ながら、青年は冷たい笑いを隠し、後ろ手でカチャリとドアのカギを閉めてしまう。その様子に気付かずに恵はのほほんと部屋の中を見回していた。

「どうだい?待っている間、ジュースでも飲みなよ。」

 そう言って、青年はトレーの上によく冷えたオレンジジュースをのせて来た。その笑顔は先ほど見せた冷たい笑いとは別人のように温かく恵を迎えていた。

「そうそう、俺の名前は氷室って言うんだ。進とは結構仲が良くってね。」

「そうなんですか……。僕は、兄さんの元気が無かったんで心配してたんですよ。」

「進かい?あいつは元気さ、これ以上は無いって位にね。」

「よかった〜。」

 ホッと胸をなで下ろす恵。冷たく冷えているジュースが恵の喉を潤わす、そして数分後……恵の意識は飛んでいた。

 再び意識を取り戻した時、恵は体の自由がきかない事に気が付いた。ベッドに寝かされ、両手足を紐で縛られ固定されていたのだ。そこには先ほどとは違う顔つきの氷室が恵を見下す様に立っていた。

「どう言う事なんですか?」

 氷室のその冷たい表情に恵は怯えながら質問する。

「はは、決まってるだろ。これからお前は俺の物になるのさ。」

 その意味が理解できないと言う表情を恵は浮かべる。

 氷室はベッドに腰掛けると、恵のシャツを捲りあげ、体をすすぅっと撫で始める。その感触に恵は怖気を感じ、身を捩るがいかんせん手足が固定されている為に逃げる事はかなわない。

「やめてくださいっ!」

 そう言うのが精一杯の抵抗だった。しかし、氷室はまるっきりそれを無視して胸を、胴を、あらゆる所を撫で回す。

 恵は観念したのか無表情を決め込み、出来るだけ何も考えない事にした。

 そんな恵のささやかな抵抗を打ち砕く様な言葉を氷室は耳打ちする。

「いい事を教えてやるよ。お前は進と一緒に俺達に買われたのさ。兄貴と一緒に立派なチキンにして高く売ってやるよ。」

 そう言って、氷室は閉まっていた隣室の扉を開く、そこには縄で縛られ、肛門にバイブを突っ込まれて自分の局部を大きく隆起させながら、恍惚の表情で横に立っている男性の局部を美味しそうにしゃぶっている進がいた。

「兄さん!」

 恵は信じられない物を見たと言う驚きの声をあげる。しかし、その声は進には届かなかったようだ。彼は一心不乱に男性への奉仕を続けている。

「お前もすぐにああいう風になるさ、俺達のテクは絶品だからな。」

 そう言いながら、氷室は右手で恵のズボンを器用に下げて行く、左手は相変わらず彼の乳首を刺激している。

 恵は兄のその痴態を見せられているうちに自分の局部が固くなって来ているのに気がついた。

(何で?何で、兄さんのあんな姿を見て僕は感じちゃっているんだろう……)

 彼は、それが先ほど飲んだジュースの中に混入されていた向精神剤の影響だとは気が付いていない。

「ははは!こいつ兄貴の格好を見て感じてやがるぜ!とんだ弟だな!」

 氷室は、先走りでじっとりと濡れて来ている恵のブリーフを見て笑う。

「そうか、兄貴の事が好きなんだな、判ったよ、おい!そいつをこっちにつれて来いよ!」

 氷室がそう言うと、進の傍らにいた男が彼を立たせこちらの部屋に移動させる。半ば転がるような形で倒れ込んだ進は氷室の側にひざまづく形を取る。

「おい、進!お前の弟がお前とやりたがっているみたいだぜ!きちんと奉仕して抱かれてやりな!」

「はい、御主人様。仰せのままに……」

 縄をとかれた進はゆっくりと恵に近付き、恵の唇を奪う、しかしその途端氷室から容赦の無いケリを喰らう。

「誰が最初にキスしろっつったんだよ!最初は足に服従のキスだろーがっ!なめてンじゃねーぞ!」

 その余りの勢いに、進はベッドから転げ落ちてしまう。しかし彼は文句を言わずに謝罪をする。

「すみませんでした。御主人様……」

 そして進は再び恵の足下へ近づき彼の足に接吻しながら恵に向かって声をかける。

「恵様、このいやらしい私が御奉仕する事をお許し下さい……」

 その余りの卑屈な態度に恵は驚きを覚えると同時に凄まじい嫌悪感を抱く。当然だろう、それ迄は自分の事を守ってくれ、育ててくれた、今ではたった一人の肉親である敬愛すべき兄がこんな事をしているのだから……

「兄さん!もう止めてよ!目をさましてよ!こんなの嫌だよぉ!」

 恵は必死になって、進に訴えるが進は依然として彼の足を丹念に嘗めあげている。その様子を見ていた氷室はどこかからナイフを取り出し頬にその冷たく鋭利な刃をあて恵を脅す。

「ぎゃあぎゃあウルセーんだよ。ウルセーのはその口か?あ?黙ってらんねぇんだったら死ぬか?コラ?」

 その余りの恐怖に恵は失禁してしまう。

「げ!きたねぇなぁ!しょうがねぇ……自分で始末してもらうか。」

 そう言って、恵の尿でぐっしょり濡れているブリーフを器用に切り裂き丸めて口の中に突っ込み、吐き出せない様にガムテープで口を塞いでしまった。恵の口の中に自分自身が出してしまった、尿の味が口の中に広がる。しかも吐き出す事が出来ないので恵には涙を流しながらその液体を嚥下するしか無かった。

「何だよ、ちっちゃくなってるじゃン。おい進、足はもういいからよぉ、こいつのチンポコしゃぶってやれよ、大きくしてやンねぇと入れて貰えねぇぞ。」

 にやにや笑いながら事態を楽しんでいる氷室。その彼の言葉は絶対なのだろう、進は何も言わずに恵のぐっしょり濡れてしまっている局部の周辺を舌で嘗め取り、恐怖で小さくなってしまった恵の局部を口に含む。

「むぅぅぅぅぅ!」

 恵は必死に声をあげるのだが所詮うめき声でしか無い。しばらく進が舌と手を巧みに使って奉仕しているうちに、恵のそれは再び頭をもたげて来る。

 進は恵をまたぎ、未だに進自身に突き刺さっているバイブをニュルッと産み出す。それは糸を引き、恵の腹の上に落ちる。その刺激に恵はぴくっと体を震わせる。そして、自分自身の唾液で濡れそぼった恵の屹立を自身のまだ閉じ切っていない窄まりに押し付ける。一瞬の抵抗の後、恵のそれは進の中へと埋没して行く。進はゆっくりと体を上下させ恵のそれを味わい始める。始めは嫌々をくり返していた恵も徐々に息遣いが荒くなって来ている。

 それを見ていた氷室はおもむろにズボンのジッパーを下げ大きく隆起したそれを恵の顔の前に持って行き、口を塞いでいるガムテープをバリッと引き剥がす。

「ほら、こいつをしゃぶって貰おうか。お前の兄貴がしていた様にすればいいんだから簡単だろ?ただし、歯をたてたらどうなるか……判るな?」

 その意味が自分の身の破滅を意味している事を感じ取り、まだブリーフを口に含んだままの恵は必死に頷く。恵は自分の尿と唾液でぐっしょりのブリーフを口から取り出され、そのままおずおずと、氷室のそれに舌を這わせる。

「ちっ、やっぱりまだ下手くそだよな……、いいかこうしゃぶるんだよっ!」

 そう言って、氷室は恵の鼻をつまむ。息が出来なくなった恵は自然と口を開いて酸素を取り入れようとする、そこに氷室の一物が乱暴に侵入して来る。一瞬息が詰まり咳き込みそうになり、思わず口を閉じてしまう恵。

「歯を当てるなって言っただろうが!」

 そう言って、氷室は恵の乳首を思いっきりつねる。その余りの痛さに涙をぼろぼろ流しつつ恵は謝罪する。

「ごっごめんなさいぃ……許してよぉ、もう嫌だよぉ……どうして僕がこんな目にあわないきゃなんないの……」

 氷室は恵の耳元で語り始める。その間も進は何かに取り付かれているかの様に腰を動かし続けている。

「さっきも言ったがな、お前はこいつの不始末の尻拭いで俺達に売られたのさ。こいつはな、元気になるクスリを俺から買ったんだよ、何回かな……そのうちこいつは金を払えなくなって来たんだよ。だけど、俺は優しいからな自分の体を売りなって言ってやったのさ。」

 氷室はおもむろに立ち上がると恵の頭上から注射器を取り出し何かの液体を吸引する。再び恵の目の前にやって来て彼に見える様にその注射器をちらつかせる。

「これがそのクスリさ、こいつが自分からケツを開くようになってからもこれが忘れられないらしくてな、そうこうしているうちに、借金が増えていったんだよ。それで進はこのクスリ欲しさにお前を売ったのさ!お前もこいつの虜にしてやるよ!」

「嫌だっ!嫌だぁぁぁぁぁぁぁ!」

 恵は声を大にして、あらん限りの拒否をする。しかし体を固定されている彼には避けようが無い。チクッと言う痛みの後冷たい透明な液体が彼の体内に流れ込んで行く。

(ボクハ……ボクハ……)

 涙を流しながら、その様子を見届けていた恵の中で何かが弾けた。



 二ヶ月後……

 進と恵の二人は、お揃いの首輪をつけ、やはりお揃いのピアスを乳首に施し、尻尾の生えたアナルバイブを装着した格好をして、二人で仲良く氷室の一物に舌を這わせ奉仕していた。そこに一本の電話がかかって来る。

「あぁ、俺だけど……ああ、失礼、ええ、完璧に仕上がりましたよ。これ以上は無いって位の上玉がね。」

 そう言って、二人の事を眺める。二人は相変わらず氷室への奉仕を続けている。

「しかし、あんたらも鬼だよな、いくら生徒の暴力を交わす為だからって言ってもよ、自分のとこの生徒を犠牲にして性欲処理させようってンだからな……実は自分達が使いたいんじゃねぇのか?ハハハハハ!それじゃぁよ料金の方はきっちり振り込んでおけよ。ちょっとでも変な事したら、マスコミに垂れ込んでやッからな、そしたらあんた等お終いだぜ?じゃあな!」

 そう言って、氷室は電話を切る。

「いいか、お前等はこれから新しい御主人様のとこへ行くんだ、ちゃんと御奉仕しろよ。」

 そして氷室は大量の白濁を放出する。二人はそれを喜んで飲み干し、お互いの顔に付いてしまった物を舌で嘗めあっている。氷室の目は既にこの二人には無く、次の依頼人が渡した少年の写真を見ていた。



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